武器として召喚されたのでステータスが表示されず、魔王を倒したのに信じてもらえないどころか国家転覆罪をかけられて処刑されそうになったので国を滅ぼすことに決めた

竜頭蛇

第1話 魔王倒した後にチンピラに絡まれて草


「おう! おう! 地牛松吉のメガネさんよ! 神官とは珍しいジョブしてんじゃねえか!」「ブハハハ! まあステータスくそ雑魚ナメクジだけどな! 相棒、骨折らねえように注意しろよ!」


 魔王を倒して王都に戻る際に立ち寄った宿で食事を取っているといかにもチンピラ然としたモヒカン男と眼帯男に絡まれた。

 食事中だというのに俺の肩に手を掛けてきて非常に邪魔くさい。

 初対面だと言うのにステータスのことを云々しているところを見ると鑑定のスキルか、魔導具でステータスを見たらしい。

 俺は召喚された時に生じたバグで種族がメガネと入れ替わっており、鑑定では俺のステータスではなく俺のメガネのステータスが表示される。

 なので、彼らが見ているのは俺のステータスではなく、俺のメガネのステータスだ。

 同郷の人間なら名前で察するだろうが、この世界のメガネはクリアグラスという名前でメガネという言葉を見てもヘンテコな名前としか捉えられない。

 

「すいません。周りの人の迷惑になるので勘弁してくれませんか」


「勘弁してくれだあ? ギャハハハ!」「おいおい、釣れねえなあ!」


 断りを入れて散るように促すが、完全に俺を格下の相手だと見下しているようで聞く耳を持たない。


「すいません。本当に──」


「ああん、なんだオラ!! テメエ! グチャグチャ言いやがって! ささっとついてくんだよ! テメエはよお!」「役に立たせてやろうってのによお! 下手に出てりゃあ調子に乗ってんじゃねえぞ! 雑魚が!」


 先よりも強めの言葉で拒絶しようとすると凄み初めた。

 自分より弱いはずの人間が強いはずの自分に意見を言うのが許せないのだろう。

 ここまで極端なのは久しぶりだがこの世界の人間は弱い人間に対して非情だからな。


「抵抗してんじゃねえぞ雑魚が! こいつ椅子から動きやがらねえ!」「ああん! 立場が分かってねえようだな! 俺たちはここら一帯取り仕切っている闇ギルドに所属してんだぞ! オオイ!」


 力が弱くて気づかなったがモヒカン男が肩を組んだ姿勢で俺を引っ張っていたようで、抵抗していると勘違いして激昂すると眼帯男が怒声を飛ばして食事ごと机を蹴飛ばして倒した。

 できるだけ穏便に済ましたかったがもう穏便に済ますのは無理だろう。


「俺の前から失せろ」


『威圧』を込めて消えるように言うと腰を抜かして「ヒィぃ!!」「化け物ぉ!」と短い悲鳴をあげるとモヒカン男たちは床に汚い水溜まりを残して宿屋から逃げていた。

 周りを見ると脂汗を流しながら怯えた目で俺を見ている。

 俺がいるともうご飯が食べられないだろう。


「ご迷惑をおかけしました。迷惑料です」


 腰を抜かして青ざめた顔をしている店主の前に金貨を一枚置いていくと宿屋を出る。

 俺は強い奴や無法者が何にも縛られずに好き勝手に弱者を食い物しているこの世界が嫌いだ。

 一刻も早く元の世界に帰りたい。

 メガネのステータスを見られて使えないと判断されて国王から追放されたとはいえ、魔王を倒したら元の世界に返すという約束をしたので報告をすれば戻してくれるはずだ。

 もう少しの我慢だ。

 もう少しの。


    ───


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