第13話
やっぱり、この女、おかしかった。
話を聞く気になった自分の馬鹿さ加減に腹が立ちました。
「そう、亀だった。
僕には妹がいた、けれども兄さんはこれから行く所が有るから、もう行かなくちゃならない。
じゃ。」
立ち去ろうとすると、
「私も、今は仮の姿です。」
「僕も亀だって言いたいのか!
それじゃ世の中、皆んな亀だ。
いい加減にしてくれ。」
「私、明日子供を産みます。
あなたの子です。」
「冗談はよしてくれ。
君は妊娠しているのか、だから僕を誘ったんだな。」
彼女は血の気の無い顔をして、今にも倒れそうでしたが、父親にされたらたまりません。
彼女を残して歩き出すと、
「私、明日子供を産みます。
二十三年前の私達の母の様に、卵を産みます。
一つは男の子で、もう一つは亀の子です。
母は、この浜の主でした。
母だけでなく、私達はこの地の人間と交わって浜を守ってきました。
それが偶然、あなたと私の祖父に出会った。
以来、この地の人間では無く、あなたと私の父と、そして私の兄であるあなたと、運命が変わってしまいました。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます