第2話

『さぁ、野郎どもぉぉぉぉぉぉぉ!!!!! 今から行われるのは、先祖代対新時代の神々による大戦、ゴッドレジェンズだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!』


ウォォォォォォォォォォ!!!!!


闘技場に響き渡る実況の声と観客たちの叫び。

これから始まる戦いを、今か今かと待ちわびている。


『ルールは簡単!! 先祖代と新時代によるタイマンの戦い!! 負けた奴はその場で消えてしまうぞ!!』


実況の言葉に、新時代側の観客たちはザワザワしだしだす。

それもそうだろう、負けてしまったら、消えてしまうのだから。


『実況のはこの俺!! 『グレイシャル』がやらせてもらうぜ!!』


グレイシャルが叫ぶと、観客たちもウォォォォォォ!!! と叫ぶ。



「第一試合、誰が出るんだろう……。」


キールドはボソッと呟く。

初戦の大事な試合、誰を出すか悩んでいた。


「よし、彼に出てもらおう!!」


誰を出すか決めると、新時代の控室へと向かう。

その頃、先祖代の控室では――


「最初の試合、お前さんに出てもらおう、バルガル。」

「……俺か。」


ジェルエルドは最初の初戦、バルガルを出すようだ。

最初から決めにかかっている。


「わかった、全力で行かせてもらう。」

「頼んだぞ。」


ジェルエルドの言葉に頷くと、バルガルは控室を出る。


「さてさて、あっちは誰を出すのやら。」


そう呟きながら、自分の髭を撫でるのであった。



『さぁ!! お互いに準備が整ったぜ!! 先祖代からはこちらのお方だぁ!!』


グレイシャルが叫ぶと、先祖代側の通路から一人の男が現れる。


『撃拳、それは、どんな相手をも打ち倒す!! 魔物だろうがなんだろうがすべてを打ち倒す!! 撃拳神!! バルガルゥゥゥゥゥゥ!!!!!』


通路から出てきたバルガルは、闘技場へと立つ。


『新時代からはこいつだぁ!! 鉄拳、言葉の通り、鉄を纏い拳で敵を殴り倒す!!

鉄拳神!! エルベェェェェェス!!」


新時代側の通路から、一人の男、エルベスが姿を出し闘技場へと立つ。


『それでは、両者前へ!!』


グレイシャルが促すと、二人は闘技場の中央へと立つ。

そして、お互いはにらみ合う。


「やはり貴様か、エルベス。」

「そうだぜ、親父。」


『さぁ!! 第一試合!! 最初から、親子のタイマンが始まるぜ!!」


二人は構えをとる。


『ファイ!!!』


その掛け声とともに、二人は拳を繰り出す。

その衝撃は凄まじく、余波が観客席でも伝わるまでの衝撃だった。


『うぉっ!? すげぇ衝撃だぁ!! これが神の戦いだぁ!!」


「ほう、やるな。」

「そりゃ、どうも!!」


返事をしながら、エルベスはバルガルに向かって、蹴りを放つ。

バルガルはその蹴りを防ぐ。

お返しとばかりに、バルガルが左ストレートを繰り出す。

それを、エルベスはバックステップで回避する。


「あっぶねぇ……!!」

「息子ながらやるようだな。」


バルガルがエルベスを褒める。


「だったら、席を渡してもいいんじゃねぇか?」

「それとこれとは、話が別だ。」

「頭硬すぎだろっ……!!」


そう言いながら、エルベスは飛び上がる。

そして、右手に力を籠める。

すると、エルベスの右手が光りだす。


『おっとこれは!! エルベス、必殺技を使うのかぁ!?』


エルベスの右手が光を纏い、どんどん大きくなっていく。


「喰らいやがれ!! 親父!!」 



『ビックバン・パンチ』


光を纏い巨大化した拳を、バルガルに向けて放つ。

バルガルは、迎え撃つかのように構えをとる。


『おおっと!! バルガル!! あの巨大な拳を迎え撃つというのか!?』


観客たちも騒然としている。

あの拳を迎え撃つなんて、ありえないからだ。

バルガルは右手に力を籠め、拳を放つ。


『撃拳・グラウンドダイグ』


巨大な拳と、力を込めた拳がぶつかりあう。

その衝撃は凄まじかった。

お互いが吹き飛ばされそうな衝撃で、二人は拳をぶつけたままだ。


「おらぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「ぬぅん!!」


二つの拳がぶつかり合う中、これを征したのは――


「うぉ!?」


バルガルだった。

ビックバン・パンチは、消滅した。


『おおっと!! バルガルの放った一撃が、エルベスの技をかき消したぁぁぁぁ!!!』



「くそっ……!! マジかよ……!!」

「まだまだだな。」


エルベスが悔しがっているところを、バルガルは腕を組み仁王立ちをする。

それに苛立ったのか、エルベスが仕掛ける。


『エルベスが仕掛けに行ったぁ!!』


バルガルに殴りかかろうとするが、バルガルに右手を掴まれてしまう。

ならばと、左手で殴り掛かるが、こちらも掴まれて止められてしまう。


「クソっ!! 放せよ!!」

「断る。」


その言葉と共に、エルベスの腹目掛けて膝蹴りを放つ。

ドスゥ!! とエルベスの腹に強烈な一撃が放たれる。


「ぐぁっ……!!」


エルベスは、その一撃に耐えれず、吐血してしまう。


「次だ。」


バルガルが、またもや膝蹴りを放とうとすると――


「っ、ざけんなよ!!」


膝蹴りが当たる前に、エルベスは頭突きを放つ。

予想外だったのか、これにはバルガルも避けることができず、喰らってしまう。


『おっと!? エルベスがまさかの頭突き!! これは効いたかぁ!?」


流石のバルガルも、仰け反ってしまう。

エルベスはしてやったり顔だ。


「貴様……!!」

「はん!! お返しだよ!!」


頭突きの一撃により、バルガルの鼻から血が垂れる。

それをも気にせず、エルベスは次なる技を打つ。


「これならどうだ!!」



『シルバー・ウイップ』


腕を銀色に光らせ、鞭のように扱う。

エルベスは思い切り振りかぶり、バルガルに向けて拳を放つ。


『おおっと!! 今度は腕を鞭のように振るい、拳を放ったぁ!!』


シルバー・ウイップをガードしようとするバルガル。

しかし、予想外に威力は高かった。

バルガルのガードを打ち破り、顔面を捕らえた。

二発目をガードすることはできず、直に喰らい吹き飛んでいった。


「どうだ!! クソ親父!!」


『ま、まさかのバルガルが吹き飛んだぁぁぁぁ!!! これはどうだ!?』



吹き飛んだバルガルは、頭から血を流すも、何とか立ち上がる。

すると、クラウチングスタートの構えをとる。

そして、エルベスに向かって走り出す。


「やべっ!!」


エルベスは何とか、ガードの構えをとる。


『撃拳 グラウス』


バルガルの拳が光り、剣の形になる。

そして、そのままエルベスも殴りつける。

エルベスは耐えることができず、吹き飛んでいき壁に激突した。


『今度はバルガルが、エルベスを吹き飛ばしたぁ!! これは決まったか!?』


誰もが決まったと感じた。

しかし、エルベスは倒れなかった。

頭から血が流れるが、意識はまだあるようだ。


「なぁ、親父、一つ提案があるんだけど。」

「言ってみろ。」




「もうさ、殴りあわね?」


エルベスの言葉に、観客全員が驚愕した。

もう、技のやり合いではなく、殴り合いをするのだと。


「そうだな、それがいい。」


バルガルも、この提案に乗った。

そして、二人は構えをとる。


「親父ぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!」

「エルベスゥゥゥゥゥゥ!!!!!」



叫びながら、二人は拳を振るった。

その拳は、二人の顔面を捕らえている。


『き、強烈なクロスカウンター!! これからどうなるんだぁ!?』



二人は殴り合う。

一歩も引かず、お互いにラッシュを仕掛ける。

拳がぶつかり、顔を捕らえ、それでも二人はラッシュを止めない。



『す、すげぇラッシュだ!! どちらが倒れてもおかしくないぞ!?』


「だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」


ラッシュは止まらない、どちらが倒れるまで。




そして、その時が来た。


またもや、クロスカウンターが決まった。

バルガスは膝をつく。


『ば、バルガルが膝をついたぁ!! これはエルベスの……!?』


グレイシャルが勝者宣言をしようとすると、エルベスが倒れた。

そして、涙を流す。


「あぁ、くそっ……、負けた……。」


手で顔を覆い、涙を流す。

しかし、それは悔しさの血涙だ。


エルベスの体は光に包まれ、消滅した。


「エルベス、我が息子ながら、立派だったぞ。」


エルベスを称えると、バルガスは立ち上がり、拳を突き上げる。


『だ、第一試合!! 勝者、撃拳神バルガルゥゥゥゥゥゥ!!!!!』


先祖代の観客席からバルガルコールが響き渡る。

一方の新時代の観客席は、静まり返ってしまった。

大切な仲間が消えてしまったのだから。


「これが、ゴッドレジェンズ……。」


キールドは涙を流しながらも、次の試合の準備をする。

次に出るのは誰であろうか。



撃拳神バルガル対鉄拳神エルベス


勝者 撃拳神バルガル



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