感情がだせない銀狼辺境伯様には、秘密がある
瑠璃
第1話 銀狼様との縁談
銀色の美しい髪にダイヤモンドのような銀色の瞳
容姿端麗 高身長にがっちりした体躯そして長く美しい足
ソードマスターのユリウス・ザンダー辺境伯爵23歳
彼は感情を表に出したことがない
幼い頃から、笑った顔も怒った顔、
そして彼を愛し育てた彼を育てた祖父が亡くなった時にさえ、泣いた顔をみたことがない
全く表情が変わらないのだ
その容貌から数知れずの女性たちが彼と親しくしようと近寄ってきても空気の様に扱い無言で跳ね除けてしまうのであった
いつからか彼は「孤高の銀狼」と呼ばれている
「お父様そんな高貴なお方と私が縁談って・・・・
本当ですか」
「そうですよ 可愛いけどとても華やかとは言い難い田舎の伯爵令嬢のセシルと銀狼様なんて・・・
詐欺か何かじゃないんですか」
「ルーカスお兄様! ちょっと言い過ぎじゃあありませんか! 」
「ごめん、ごめんセシルもちろん僕は君が世界で1番可愛いと思ってるよ 僕と同じ顔だしね」
「いや、私と母様も最初は詐欺かな?って思ったのだが
ほら王宮の使者様が勅書をお持ちくださってあちらで返事をお待ちなんだ」
早朝のゴールドウィン伯爵家に突然やってきた王宮からの使者様は応接室のソファでお茶を飲んでくつろいでいた
私は、セシル・ゴールドウィン18歳
シルワース王国の片田舎ゴールドウィン伯爵家の長女 薄い青銀の髪色に金色の瞳
家族は父のシリアス・ゴールドウィン父は金色の髪に青い瞳 母のサラ・ゴールドウィン
そして双子の兄のルーカス・ゴールドウィン母と兄は私と同じ色をしている
私と兄は今年アカデミーを卒業したばかりだ
ルーカスは魔法の才能を認められ魔塔への就職が決まったばかり、私は行儀見習いも兼ねて王宮の侍女に応募をしていたのだが・・・・
「あの、使者様・・・・・ 侍女に採用という勅書のお間違いでは・・・? 」
「何を言ってる ほら、よく読んで よくみて」
そう言いながら勅書を私の目の前に差し出す
「ああ、それとユリウス・ザンダー辺境伯からはもう返事をいただいている」
「ええ、こんなに支度金をしかも領地の援助まで・・・・」
「そうですよ こんないい話なかなかございませんよ」と使者様がお茶をぐいっと飲んで縁談を勧めてくる
「・・・・・・ わかりました、私お嫁に参ります」
「え!セシル本当にいいの」
「ええ、お母様! 私ももう18歳ですし大丈夫ですわ」
「なんだか、ちゃんとした返事になってないけど・・・」
「お兄様ったら!
それでは使者様いつザンダー領に向かえばよろしいでしょうか」
「そうですな・・・承諾をもらったら身一つでいいから領地に連れてきて欲しいとの事だったし・・・10日後には・・・・それだとここからだと5日はかかるから・・・ああ!もう今日出ないといけませんな」
「え? 今日聞いて今日出発ですか!!」
「はい、行かれるなら早く!早く!」
そう言われて、慌てて支度をし家族と別れを惜しむ暇もなく私は使者様に連れられて出発した
実は自分の領地とアカデミーのある王都しか知らない私は他の領地や町には行ったことがなく行き先々で初めて食べる食事や見るものばかりだったので使者様 御者さんと仲良く楽しみながら道中を進んで行った
「明日はいよいよ領地に到着ですね お嬢様」
「ええ、使者様もお疲れになられたでしょう 」
「まあ、でもそれが私どもの仕事でございますしね
でも今回はセシル様とご一緒できて私どもも本当に楽しかった」
「明日が終わりましたらゆっくり休んでくださいね」
そんな話を宿屋の食堂で話していたら外から音楽が聞こえてきた
綺麗な楽器の音に優しく少しだけ掠れがちの低い素敵な声の歌声
「ああ、吟遊詩人ですよ あれはブズーキという楽器ですね」
外を覗くと黒いアイマスクをした長い黒髪の男性が楽器を演奏しながら歌っていてその周りを沢山の人が囲んで彼の歌に聴き惚れていた
「ああ、あのこはシャドですよ 時々ここに来て歌っているんですよ
歌い終わったらここでウイスキーを少し飲んでいつの間にかいなくなるんですよ」
「へえ、シャドさんか 素敵な歌声ですね」
歌が終わりシャドさんが宿屋に向かってきた
「おかみさん いつもの・・」
そう言って私たちの隣のテーブルに座った
私たちの横を横切った時にほんのり甘いが木の香りがした
「素敵な歌でしたね、聞かせてくれてありがとうございます」
「こちらこそ、聞いてくれてありがとう」と彼はアイマスクをしていてもわかるくらいの笑顔で返事してくれた
「ああ、お嬢様もう早く休まないと明日はザンダー領に参りますからね」
「あ、そうですね では おやすみなさい」
そう言って食堂を後にし部屋へと戻ったのである
「おかみさん、彼女ザンダー領にいくのかい」
「ああ、ザンダー領にお嫁にいくそうだよ 感じはいいし可愛いし幸せになって欲しいと思うよね」
「ああ、そうだね」そう言ってシャドはウイスキーを口にした
いよいよ明日は旦那様になる人に会うのね
怖い人らしいけど別にとって食われるわけじゃあないんだから大丈夫よ
そう自分に言い聞かせてセシルはベッドに潜り込んだ
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