第100話 婚約破棄
「アリッサ・アッサム公爵令嬢、申し訳ないが私との婚約を破棄してくれないか」
ティコいやティモシー次期カリオス国王がアリッサとアッサム公爵夫妻を前に頭をさげこう言った
「あら、ティモシー様、国王になられるから私では妻として不十分ということでしょうか? 」とアリッサが言い返す
「何だと!そうなのか! 」
アッサム公爵が立ちあがろうとするのを夫人が制止する
「いえ!違います、逆なのです
今のこの私にアリッサ様が嫁ぐと彼女にとって苦労が待っているのが目に見えているではないですか」
「まあ、確かに・・・・」
「あなた!! 」
とすかさず夫人に叱られるアッサム公爵この夫婦もうまくバランスが取れている夫婦だ
「まあ、私は婚約破棄は2回目ですし、まあこれでどこにも嫁げませんわね」
「何を言ってる
君ほど賢く優しく、美しい女性はいないんだ 嫁ぎ先がないなどあるわけないだろうが!」
「そう、思ってらっしゃるならなぜ婚約破棄などとおっしゃるの!」
「だから、私といると苦労すると・・・・・」
「だから、誰が苦労と言うのです
他人がどう言おうと私が苦労と思わなければ苦労じゃないんです」
「だから、君はすぐそうやって・・・・・・・」
とティモシーは頭を抱える
「あなた、あのふたりの「だから」が始まってはまた長くなりそうなので席を外しましょうか」
と公爵夫人が小声でアッサム公爵に言う
「そうだな・・・・・・まあ、この調子なら大丈夫だろ」そう言って2人を残して公爵夫妻も侍女達もみんな部屋を出ていってしまった
「だから、いつもティコあなたは自分の本心を言わないじゃない!いつもそうまず一番にリル!!どうして一番がリルなの!次に仕事いつも自分の気持ちや自分のことは後回しじゃない! 」
「だから それは、リルは俺の主君だから・・・・・・」
「やっぱり、あなたは私には何も感情も持っていなかったのね
リルのために身分を偽りこの国に入り私と婚約したのね」
「アネッサ!それは違う!途中までは会っているが君と出会ったのも婚約したのもそう言う理由ではないんだ」
「じゃあ!一体どういう理由なのよ!!
あなたは私が他の方の元に嫁いでも平気なんでしょ 」
アネッサの大きな瞳から涙がポロポロこぼれ落ちる
「うーん!!もう!!君を愛してしまったからに決まっているだろう!氷の公爵令嬢と呼ばれているが実はとても温かく優しい君、自分の気持ちを相手に伝えられない不器用な君がとてつもなく大好きなんだ
そんな君に苦労させたくないんだ
俺が、君を他の男の元に嫁がして平気なわけがないだろう!! 」
そうティモシーがそういうとアネッサが抱きついた
「ティコ、あなたちっともわかっていない
何があってもあなたが側にいるだけで幸せなんですよ
どうして一緒に頑張ろう
そうおっしゃってくださらないの」
「アネッサ・・・・・・本当にいいのか」
「当たり前じゃないですか
その代わり1番をリル様から私に早く変更してくださいませ」
「ああ、もちろんだ! 」
ティモシーは一代決心をしてアッサム公爵邸に乗り込んだがやはりアリッサを手放すことはできなかった
アリッサもそうだった今まで公爵令嬢という立場を第一にして考え行動してきた彼女が初めて1人の女性としての感情のままに決断したのであった
◇◇◇◇◇◇
「くしゅん」
「あら?リル様風邪かしら」
「いや、ハイネ、違うと思うんだけどね」
「はちみつとジンジャーの飲み物持ってきますね」
「ありがとう」 とニコニコするリルとハイネ
恋人たちのひとときの穏やかな時間でした
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