第96話 イーリス・カリオス
デボラの高笑いは響いた部屋は一瞬沈黙に包まれていたが、シルフィが沈黙を破った
「デボラ、あなたおかしいわ
ただの嫉妬心だけでそこまでする?
狂ってるわ」
「あら、誰にでも嫉妬心はあるものよ
執着心もね、あなたとコンティもそうじゃないお互い好きだった人の子供を一緒に両親ヅラして育てているなんて滑稽だわ」
「違うわ!!私はコンティを愛している
それに誰がなんと言おうとリルは私たちの息子よ!
あなたは何もわかってないしわかってほしくもないわ
デボラあなた自分しか愛せないから誰にも愛されないのよ!」
「なんですって!シルフィーあなたも闇に堕ちるがいいわ」
魔術師の拘束術を破ってデボラが「蛇の紋章」をシルフィーに向かって発動した
刹那、「トムザインジシャーナラ(闇の抹消)」とシルフィーの詠唱と共に魔法陣が蛇の紋章を飲み込み消し去った
魔術師達がみんなザワザワしている
「あんな高等魔法初めて見た」
などと口々に呟いている
グリーが再度強い拘束魔法をデボラにかけた
「とにかく君にはまだまだ魔塔の地下室で話を聞く必要がある
第一王子とパトリシアにもな」
「あら、あの子達には手を出させないし出せないわ」
「それはどうだろう
すでに捕まえられているかもしれないな」
「大丈夫!捕まえられない
たとえ「魔弾の射手」であってもね」
「それはどう言うこと?」
シルフィーが、問いただすがデボラは笑うだけだった
離宮では、リルたちとイーリス、パトリシアが対峙していた
「パトリシア、すまないが君の言っていることがさっぱりわからない」
「だから、私は前世の記憶が残っていて私はこの世界では帝国の王妃になってイケメンに囲まれて幸せに過ごす運命なんです」
「イーリス、彼女の言っていることが理解できてお前も彼女や、君の母上に加担しているのか」
「彼女の言っていることは理解できないが、私はこの世界全体を帝国にし皇帝になるのだと幼い頃から母に教えられている」
やっぱり理解できないんじゃねえか
こいつも小さい頃から母親に刷り込まれているからかなりおかしいな
「ティモシーお前がなぜここにいる
汚れた血は出て行ったのではないのか」
「いや、私はこの王国をまともな国に戻すためここにきた」
「何を馬鹿げたことを!
ああ、そうだ丁度いいお前らも、魔獣の核にしてやろう」
「突然、何を言い出す!
お前らもってどう言う意味だ」
「お前達の最後の土産に教えてやろう
魔力のないものは屍人を兵士として使い、魔力の強いものは魔石になるのだよ魔獣に魔石を食わせると巨大化するんだよ」
「核って・・・・・まさか!」
「そう、お前の魔力を解放させまいと妖精達を封印した鍵を持つ魔獣たちに魔石を食わせたのに残念ながらリル、お前に殺されてしまったよ」
「あの魔石・・・・・魔力を持つものって」
怒りでリルの手が震える
「ああ、 ユーゴス・エドモンド・ジュリアスは、パトリシアの魅了の力ですっかり彼女の虜になっていたよ」
「あら、イーリス様魅了の力じゃなくて私が魅力的なんでしょ」
と、横からパトリシアが話しかける なんだかいちいち腹たつ女だ
「優しく話聞いていたら三人ともお兄さんと比べて自分はダメだっていうの
だからあなたは悪くない
そう言うふうにあなたを悪くしているのはお兄さん達なのよって教えてあげたの」
「なんだと!貴様何を言ってる!それでユーゴスたちはどこにいるんだ」
「ああ、今はリルが持ってるんじゃない?」
「・・・・・・・・ 」
全員が黙ってしまった
「あれ?黙ってしまったね」
そう言っていると
この離宮の唯一の入り口から魔塔主と母上が入ってきた
入ってきた瞬間にグリーは強固な拘束魔法を二人にかけた
「ああ、学園長久しぶりなのにひどいな」
イーリスがずっと不気味な程淡々としているがその横でパトリシアが大声を出して暴れている
「イーリス、お前何やってるんだ」
「ふっ、僕は母のささやかな願いを叶えようとしているだけですよ」
「とりあえず、話は魔塔で詳しく聞く」
「ああ、そうだ、君たち本当に大切なものには目を離さない方がいいよ」
そんなことを言い残してイーリス達はあっさりと魔術師達に連れて行かれた
「それと、さっき入っている時に聞こえていたんだが・・・・リル、妖精の鍵持っているのか」
「はい」と3つの鍵を出した ユリアスが瞳の涙をため体を震わせながら鍵を見つめる
「すまないが、少しの間預からせてもらえないだろうか」
「ユリアス・・・・・」
「リルがいいのであれば」
イーリスの話からすればあの3つの鍵のいずれかにユーゴスが魔石にされ関わっていたのかもしれないそう思うと居た堪れなくなってしまった
イーリスなぜあんな残酷なことができたのだ
それにしてもあいつの冷静な態度口ぶりまるでわざと捕まったようだ
そして、最後のあの言葉・・・・・。まだ何の解決していないあと味の悪さだけが残った
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