第94話 眠れぬ夜
結局、大幅の予定と今回も変わってしまった。俺の読みが甘いのか・・・・・
しかし、母上が出てくるとは予定外も予定外
そうこうしていたらティコが王宮を抜け出して宿屋に来た 地図を広げて離宮の場所をティコに教えた
「やはり、幼い頃俺たちが育った離宮に違いない」ティコたちもそこから出ていく道も扉すら分からなかったらしい
だが、乳母が抜け道からティコたちを脱出させたらしい
「1箇所だけ抜け道があったのだがどうしても思い出せないんだ」
「ヨハンも時々遊びに行ってたと聞いたがその抜け道から行き来していたんだろうか」
「だと思う、思い出そうとしても思い出せないんだ」
「無理する必要ないさ」
「ところで、ヨハンの居場所がわかったんだ」
「どこなんだ、やはり離宮にパトリシアと一緒にいるのか?」
「いや、それが離宮の東側に海があるだろう その海岸線にあるこの部分に小さな邸があるんだが・・・・・」
「この崖になっているようなところか」
「そうだ、まさに崖の上に立ってある」
「その邸にヨハンがいるのか? 」
「多分・・・・・・」
「多分? 」
「実は、その邸全体に結界が貼られていて入られない」
「結界? ヨハンが? 」
「いや、リルお前の魔力を感じた、お前の魔力による結界だ・・・・・ただ、中からうっすらヨハンの魔力を感じる」
「俺の魔力だと・・・・・・? 」
「ああ、だからあの結界はお前か発動させたヨハンでないと解除できないだろう」
「とりあえず、行ってからだな
結界で邸が包まれているということはヨハンのところには離宮でのことが済んでからで大丈夫か・・・・」
「その屋敷の中にユーゴスはいるのだろうか・・・・・」ユリアスがまた頭を抱え込む
「すまない、今の所パトリシアの取り巻きだった ユーゴス・エドモンド・ジュリアスの3人の行方がわからない」
エドモンドとジュリアスといえば毎回剣術大会でも上位の実力者で相当な魔力の持ち主だ
よく考えてみると学園でも優秀であったり家柄もよく人気のあるものばかりがパトリシアの取り巻きになっていた
そして3人とも魔力の強いものばかりだ そんな彼らがどうして・・・・・?
「ただ、三人の共通点が一つあるんだ」ティコがゆっくりと言葉を放つ
「共通点?」
「三人とも優秀なのだが、それ以上に彼等の兄が優秀なのだ
皆人柄もよく人々からも好かれている」
ユリアスの顔が青ざめ歪む
「私のどこが、ユーゴスより優秀だというのだ ユーゴスこそ私の持っていないものを沢山も持っているではないか
素直なところ、朗らかなところ、優しく・・・・・」そこまで言うと泣き崩れた
ユリアスにかける言葉が見つからなかった ユーゴスはとてもユリアスを愛していて憧れていたんだろう
でも憧れの中にほんの少しだけ心の奥に潜む劣等感をパトリシアに引き出さられ、憎悪へと変えられたのであろう
ティコもまた、ヨハンのことを思うとユリアスと同じ気持ちなのだろう
なぜ、パトリシアがそんなことをするのか
彼女の目的がまるで見えないだけに不気味さだけが残る
明日はっきりさせなければならない
それぞれが眠れぬ夜になった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます