第90話 浄化
真夜中にジェレミー公国に到着した
突然、大勢の魔術師とともに俺が訪問したので城内のものは、驚きを隠しきれなかった
「ユリアス様これは一体」
「父上を起こし、ユーゴスの部屋まで至急来るように伝えてくれ」
「しかし」
「よいから、早く! 」
ユーゴスの部屋にはいり、ユリアスが見つけた隠し扉から階段をおり地下通路をぬけていき、突き当たりの大きな鉄の扉をあけると
「ユリアス先輩、これは、隠し部屋なんて可愛いものじゃない」
大きな地下牢が4つ そして奥にまた、ひとつ扉がある
血なまぐさいにおいと、地下の湿った臭いが充満していて魔術師のなかには、臭いにたえられないものもいた
「そうだ、地下牢
しかし一番問題なのは、奥の部屋だ」
奥の扉をあけると祭壇のようなものに壁いっぱいの蛇の紋章が血のようなもので描いてあった
入ろうとすると、グリー師匠に制止された
「入ってはいけない
リル、まず聖力で浄化しろ」
「はい、わかりました」
「アテリシャナ(浄化)」
両手を拡げかかげると光の渦が部屋を包み燃え上がる白い炎が闇の力を焼き尽くす
すると壁から大きな蛇が現れた
「ヴオルヴィオローデン(魔弾)」
パチンと指を鳴らす音ともに光の矢が大蛇をつらぬく
大きな叫び声と共に黒い灰になり崩れちった
「絶対に、命中させ相手を葬り散らすという魔弾の射手は、リルお前だったのか 」
ユリアス先輩が、驚いた顔で俺をみる
俺の知らないところでついた二つ名を出してこられて返事にこまり笑ってうなずくしか出来なかった
「よし、部屋にみんな入っていいぞ
ここにあるものは、全て証拠品として魔塔にもちかえる
ユーゴスの部屋も捜索するぞ! 」
師匠の右腕といわれるジェームスが指示をだす
「リル、お前ユーゴスの部屋も浄化して来い!」
「わかったよ、ジェームス 相変わらず人使いが荒いな」
「お前が何様であろうと、俺には後輩だからな これからもこき使ってやる」
がはははと笑いながら他の者にも指示をだす
「ユリアス、君は、あの部屋に入ってないだろうな」
「学園長、扉を開けただけで入っていません」
「うーん、念の為だ、リル浄化してやれ」
ユリアスを浄化し、ユーゴスの部屋にもどり、ユーゴスの部屋を浄化した後魔塔の魔術師による家宅捜索が国王とユリアス立ち会いのもとはじまった
幾つかの資料、地図 そしてユーゴスの日記がでてきた
人の日記など見たくないが手掛りを見つけるため日記をめくる
最初は、とりとめない内容だったがある時期を境に内容が激変する
パトリシアと出会い彼女への想いを綴っているのかとおもえば、次第に執着に変わるがそれと共に兄への劣等感、兄への嫉妬心、それが憎悪と変わる言葉がぎっしりと書き綴られていた
日記を読んだユリアスは、泣き崩れその場に立っていられなかった
あれだけ、幼い頃から仲の良い弟だと思っていたのにユリアスにかける言葉が見つからない
しかし、よく読むとユーゴスがかけられたパトリシアの言葉が匠に彼の心の奥に密かにあった兄への劣等感を徐々に憎悪に変えていく過程が読み取れた
「本当に、恐ろしい女だな」
横から覗き込むジェームスが思わず言葉にしてしまった
日記に何か紙切れがら挟まっていた
ジーザメリウス領地の地図…… 赤く印のついている場所に覚えがある
「魔獣の山」「龍の渓谷」「グライシス領」
俺が魔獣と戦って妖精の鍵を手に入れた場所だ。 何故この場所が……
スッキリしないまま、グリー師匠にあとは任せてカリオス王国へと向かった
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