第85話  誕生日の日

 今日の夜、誕生日のお祝いを遅れてしてくれると言うしまた明日から忙しくなるのでハイネに話すのは今日しかないと色々と準備をする


 その前に今回の目的、国の祭り音楽祭の企画演出を実はマリアさんとティムそしてユウキに頼もうと思っていたのだ


 3人に事情を話し、お願いするとすでに学園長から承諾ももらっていたので話はスムーズに進んだ


「全然、別の人と話している感じなんですけどリル様なんですよね」


「そうなんです、すみません」


 皇太子がしゅんとして謝ってるよ・・・・とティム達は、声にだして笑い合う


「では、また、帝都に伺って担当者の方々と打ち合わせさせていただきますね」


「ところで今回はグライシス様のお祝いに来られたのですか? 」


「え? お祝い? 」


「明日、お誕生日じゃないですか 」


「え!!!!!」


「知らなかったんですか!!!今まで!!一度も!!!!気にしなかったんですか!!

 サイテーですね」

 マリアさんに、ガツンと言われた

はい!サイテーです


 慌てて、ジーザメリウス領に行き、バルトの店に飛び込んだ


「バルト!お前もしかしてハイネ嬢の指輪のサイズ知っているか」


「リル様、お待ちしておりましたよ!やっと!ですね」

と奥の金庫から箱を出してきた

 ブルーダイヤモンドの指輪にブラックダイヤモンドのネックレスだった


「ジーザメリウスの奥様からご指示をいただき、ずっとこの日のためにご用意しておりました

さあこれに思う存分リル様の魔力をこめてくださいませ 」


 母上、やはり母上にはダメな俺の行動がお見通しのようだった

またきちんと礼を申し上げにいかねば・・・。そう思いながら最高の魔力をかける

 魔法をかけた指輪とネックレスをラッピングしながら

「やっとこの日が来たんですね」

と涙ぐむバルト


 しかし、まだうまくいったわけではないからな 

周りの期待が膨らめば膨らむほど

 不安が大きくなっていく

 だが、もう少し時間が欲しいなんて自分から逃げている場合じゃない

 今日だ!今日しかないドキドキしながら帰るとハイネはすでに誕生日の用意をしてくれていてみんなと待っていてくれていた

 2人じゃなかったが、セシル達にも久しぶりに会うせいもあり今日は久しぶりに銀髪と深い蒼い瞳のリルに戻り話が盛り上がる

 久しぶりに穏やかな楽しい時間を過ごし夜もあっという間に深まっていった 

みんなそれぞれに家に帰りユキにも先にハイネの部屋に戻ってもらい、ハイネには話があると残ってもらった


 ハイネと2人になりこれまでのことを全てハイネに話をした


「リル様、頑張りましたね」

そう言って泣きながら俺を抱きしめた


 俺も泣きそうになったけどまだ、終わりではない


「ハイネ、まだ終わってないんだ まだ途中なんだ」


「そうでしたね、ごめんなさい 

でもお伝えしたかったんです 

ずっと傷だらけになって戦ってきたあなたに」


「ハイネ、いつも私のわがままばかりで申し訳ないのだが、あなたをこれからもずっとこの命をかけて守るから一緒に歩んでくれないか」


 ハイネは、思いもよらなかったのか

固まったまま動かなくなった


 あれ? これじゃなかったか? 

ダメだったか?

 と思うと大きなエメラルドグリーンの瞳から大粒の涙をポロポロ落とした


 時計が翌日の時刻を指した

「ハイネ18歳お誕生日おめでとう」

そう言って指輪とネックレスを出した


「指輪を手にはめて良いだろうか」


「本当に私で良いのですか?

でも決して私を置いて行かないでください 

私もあなたをお守りいたします 」


「ハイネ、俺は君でないとダメなんだ 

ふたりで幸せになろう」

俺がそう言うと彼女はそっと手を差し出した


 指輪をはめると七色の光がハイネを包み込みネックレスもかけてあげると白く輝く光が覆った


 これまで、サタームスの「弱み」と言う一言が俺に呪いのようにまとわりついていたがハイネは決して「弱み」ではない

金木犀の香る夜、必ず彼女を守り平穏な生活ができるようにしてみせるとこの手で初めて彼女を、強く抱きしめてそう誓った



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