第84話 自分の気持ち
そのあと父上に通信機で連絡を入れた
「ヨハンについては、ポールステンシャル皇室には体調が悪くカリオスに帰国していると聞いている」
「そうなんですか?
ではなぜパトリシアとユーゴスとともに消えたという噂が流れているのでしょうか? 」
「実は、3人がカリオス王国まで行っているのはティコが調べて確認ができているのだがそこから先がどこに行ってしまったのかが全くわからない
実際にティモシーとしてカリオス王宮にティコが行ったがヨハンはどこにもいなかったそうだ」
「父上、何かを見落としている気がするんです 以前から・・・・」
「カリオス王国は、実際に国の実権を握っているのは誰だと思う 皇妃だ
そして次の国王と言われている第一王子 第一王子これまで姿も話すらも聞いたことがない
ただ私はどうも今までの流れを調べているとどうもこの王子が気にかかる
今、シファーに調べさせているがお前も注意するに越したことはない」
「かしこまりました、父上」
「あ、それと別の話だが、お前ももう18歳だ・・・・・・
国に戻ってまだ1年だし私が誕生日の日に連絡しても生半可な返事しかしていない状態だが・・・・」
え?父上お祝いの連絡くれていたのか!バタバタしていて・・・・・しまったな
「それで、本題は何ですか?」
「そろそろきちんと婚約するべきかと思う
お前が18歳ということはハイネ嬢も18歳だぞ
お前の今の現状は理解できるが、あまりにも蔑ろにしすぎではないか」
父上にガツンと言われてしまった
「アッサム卿とは先日話した時は、ハイネ嬢なら申し分ないと行ってくれているぞ」
いつの間におじさん同士で俺のいないところでそんな話を・・・・・
「でも、グライシス家に断られるかもしれませんよ
こんな苦労ばかり山積みの国の皇太子のところに嫁ぐなんて」
「そこは、お前の気持ち次第だろ
きちんと思いを伝えればわからない相手ではない」
「相手のあることです
ハイネ嬢の気持ちも定かではありませんし」
「それもそうだな
父親としてはお前が振られないことを祈っているよ」
ハハハハ!と大声で笑い通信を切った
きっと俺のところに嫁いだら苦労するのは目に見えている
彼女の平穏な幸せを考えたら他の男のところに嫁いだ方が・・・・・・と考えたところで想像しただけで腹が立ってきたので考えるのをやめた
いずれは決めないといけないけれど・・・
ブルーとホクトが「俺たちの主は本当にこういうところダメダメだよな」
「全然、成長していない」
と次々に好き放題言っていたが、何も言い返せなかった
婚約か・・・・いずれにしてももう少しだけ時間が欲しいな
一体いつになれば全ての問題が解決するのだろう「国の再建」「ヨハンの失踪」「蛇の紋章」そして浮上したカリオス王国第1王子の存在
しかし、いつまでもハイネとこの状態のままでいる訳にはいかない
お互いの気持ちだけでも確認しておこうと決断した
ブライアンが帰ってきて、リリアーヌ皇女がいますぐに会いたいと仰せなので皇女のところにいった
応接室を貸切防音の魔法をかけた
「皇女様、ご無沙汰しておりまして申し訳ございません」
「いえ、リル様こちらこそ、このたびは大変でしたね
そのような黒髪では別人の方とお話ししているようです」
「実は、ヨハンのことで」
「ヨハン様・・・・・・、実は王配教育の際王宮の心無いものから罵倒されてから心を病まれてそれから私のことも避けるようになったのです
父上はヨハン様の心が癒やされるまでそっとしておいたほうがとおっしゃるから、私もあまりお声をかけなかったのですが」
「罵倒を浴びた、とは。実は・・・・・家臣のものにはリル様との婚姻を望むものも多く、何かにつけリル様と比較されたり、されていたようなのです」
「私ですか・・・・・・」
「実は、今もリル様が帝国の皇太子とわかってからは益々、リル様との婚姻を望む声が出てきているのです
でも私はヨハン様に何があってもヨハン様としか婚姻は考えられないのです」
「そうだったのですか
皇女様必ずヨハンは探し出してみせますから」
「お願いします
ヨハン様にあったら待っていると、何があっても待っているとお伝えくださいませ」
皇女に涙ながらに頼まれた
まさかそんなことになっていたとは、あの時ヨハンが俺に話そうとしたことはこのことだったのか
ヨハンを健気に待つ皇女の気持ちとヨハンの気持ちがすれ違ったままなのが切なかった
俺もすれ違ったままではいけない
自分の気持ちに素直にならなければならない
今まで、魔獣や敵には向き合ってきたが1番厄介で逃げてきた自分の気持ちに向き合うことにした
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