第75話 双子のメイドアサシン
アッサム領に船をつけると、港にはティコが既に待っていてくれた
「お久しぶりでございます ティモシー様」
「アル 久しぶりだな
予定が随分と変わってしまったが今回は少しはここでゆっくりできそうか」
ティコは、俺の今の姿にあわせた対応をしてくれる
「残念ながらティモシー様との商談後、至急グードリーヴァアカデミー学園長との商談を控えておりまして申し訳ございませんが、商談後すぐに学園に参ろうかと思っております」
「そうか、もし迷惑でなければご一緒してもよいかな
実は君に紹介したいものもいてな
その者も同行の上、お前と学園にいる旧友とも久しぶりにひざを交えて食事でもしたいしな」
ティコがアッサム領を離れてまで俺とシファーに話があるということか
「ご一緒いただけるとは光栄です」
ティコは既に準備をしていたかのように自分の荷物と共にメイドを2人連れて俺の船に乗り込んだ
メイドといってもまだセシルと同じ年位の栗色のくせ毛の琥珀色の瞳の双子の女の子だ
船が港を離れしばらくし、甲板に椅子を置きティコが舵をとる俺に話しかけながら椅子に座る
「この前まで小さな男の子だったあなたが、船の操縦までなさるんですね」
ふっと柔らかくわらいながらティコが昔を懐かしむように言う
「まあな、俺の知らない間によその領地の騎士になっているかと思えば実は一国の第2王子でまたまた知らない間に俺の同級生と婚約する友人もいるぐらいだからな」
「ああ~、それを言われたら何も言い返せませんね」
「だろ、それで今は、どのような状態だ」
「そうですね、アッサム領自体はまだ平穏ですが帝国自体は非常に悪い状況です」
「やはり、そうか」
「リル様、「蛇の紋章」のことお知りになられましたか」
「ティコ、お前もしっていたのか、俺は今日知ったばかりだ」
ティコにジェレミー公国の船の出来事を話した
「私も、つい先日のことです。実は昔から懇意にしているアサシン軍団の首領ものがおりましてそのものから1年前、双子の娘をふたりメイドとして雇ってほしいと頼まれまして」
「あのふたりか」
「はい、まだ子供なので1度は断りをいれたのですが・・・・・・」
◇◇◇◇◇◇◇
「ショウ、そうは、いってもまだ子供ではないか」
ズメイルインペリアル帝国ポーラリス皇帝に仕えていたアサシン軍団の首領ショウ・ハヤマがいきなり私の元に訪ねてきて無茶な願いを申し出た
「ティモシー様お願いいたします ふたりはもう既に幼子のころからメイドとしても、そして主に仕えるアサシンとして教育しております」
「それでは、そのままそなたの元で、このアサシンの里で教育し育てていくのが一番よいのではないのか」
「・・・・・・ 実は里の中で今不穏な動きがございまして今、水面下でいろいろ調査しております。ただ、この二人には既に身寄りのものが父親の私しかおらず」
「そうか、わかった ではこの子達は預かるとしてもどのように扱えばよいのだ」
「既にメイドとしてもアサシンとしても護衛としても十分に働くことができます
ティモシー様にお使いいただければと思っております」
「おい、それでも俺に預けるということはそんなに里は危険な状態なのか」
「さようでございます」
「ふー、わかった、そういってもお前もしっての通り俺の周りも決して安全ではないぞ」
「もちろん、存じ上げております。わたくしは、娘たちが、リル様のお役にたてればと思っているのが本音でございます」
「なるほど、そういう事か、わかった時期をみてふたりにはその場を与えるようにしよう。しかし、俺は彼女達を無事にお前の元へ帰すつもりだ。
だから、ショウおまえはそれまで命を落とすことのないようにするのだぞ」
「はっ!ありがとうございます。姉がユキ、妹がハナでございます 年は11歳でございます
どうかよろしくお願いいたします」
「ユキ、ハナ、お役に立てるようしっかり精進するのだぞ」
幼い双子の姉妹は大きな瞳を少し潤ませながらショウの瞳を力強く見つめて頷いた
それから1年たち、所用で里に立ち寄った
今から考えると虫の知らせだったのかもしれない・・・
里につくと里は焼け落ち誰もいなかった
「ショウ!いないのか? 誰もいないのか?」里の中を探しても焼け焦げた匂いと燻る煙が漂っているだけだった。
「ショウ?いないのか?」ショウの家の中で呼びかけると床からガタガタと音がした
「ショウ!どうしたのだ、みんなは?」
「ティモシー様、・・・・・・ 蛇の紋章・・・・・・ 蛇の従者には・・・・・
御願いです。私を燃やし散り跡形もなきように・・・・・・ユキを、ハナを…… 」
そう言い残し息絶えた
ティコが「ウーゴンスクラス(燦火)」と魔術を放つ
ショウの体は炎の中消え散り魂と共に空へと昇って行った
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