第4部 魔弾の射手 〜ブラックジョーカー 〜
第71話 魔弾の射手 プロローグ
ズメイルインペリアル帝国では、サタームス ポリゼ ズマイルカルプス公爵が政権を握ってからズマイルカルプス派の税圧、横暴な行政運営により国が破綻しつつある。
そして、サタームス ポリゼ ズマイルカルプス公爵私兵によるポールステンシャル王国への2度にわたる条約を無視した攻撃の結果、外交情勢そして国内でもズマイルカルプス派と反ズマイルカルプス派の対立が益々ひどくなり国民生活も脅かされている深刻な状況に陥っていた。
「本当にやってられないよな」「前の皇帝様の時とはえらい違いだ」
「まあ、今のサタームスは自称皇帝だからな、自称」
「なんちゃらっていう認証がもらえないって皇帝の椅子にも弾かれて座れねえから皇帝の対面室にも入られねえっていうじゃないか!ハハハハ」
と今日も酒場で男たちが酒を飲みながらサタームスの悪口を大声で言う。
「あんたたちそんな大声で!役人に聞かれたら魔獣の餌にされちまうっていう噂だよ」
「魔獣なんてなんで役人が連れてんだよ。そんな訳ねえだろう」
バターンと扉が開き、役人が何人もドヤドヤと酒場にクトゥルフ(魔犬)のような魔獣を連れて踏み込んできた。
「あいつらだ! いけ!」
と役人が指示すると魔獣が3人に襲いかかってきたその時、
「ヴオルヴィオローデン(魔弾)」
パチンと指を鳴らす音ともに3頭の魔獣が光の矢に貫かれ黒ずんだ灰になって散った。
そこには黒装束の長い黒髪の男が白い狼と黒豹を連れて立っていた
「なんなんだ!お前は」
「お前らこそ、人の姿をしているが俺の目にはわかる。人では、無い者よ」
そういうと男の漆黒の瞳がキラリと光った。
「ヴオルヴィオローデン(魔弾)」パチン
役人たちの体に光の矢が貫き、一瞬 人と思えない姿になり黒く灰になりサラサラと風に吹かれ散っていった。
「お、お兄さんありがとう よかったらお礼に何か食べていって」
男は静かに首を振り風のように去っていった
「あ、あの兄ちゃん何もんだ?」
と酒場に残った男たちがざわめいているとテーブルに、散らばったトランプの1番上に黒いジョーカーのカードがあった
「あの兄ちゃんこの黒いジョーカーみたいだな」
この酒場の出来事のようなことが度々あり、
いつしか人々は彼のことを「魔弾の射手」「ブラックジョーカー」と賛辞を込めてそう呼ぶようになった
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