第41話 ヨハンの報告

 ハイネの邸から帰ってきた夜、ヨハンが訪ねてきた

 暫くポールステンシャルの王宮に滞在するらしい


「本当にびっくりしたよ 

 でもあの例の図書館の1件から一度話聞きたいと思っていたんだ」

 とヨハンに切り出した


「いや、元はと言えばリルお前がリリちゃんに冷たい態度ばかりとるからだろう

 まあ、魔術の時間も同じクラスだしリリちゃんも可愛いからいいんだけど…… 」


「結局、そういうことか」


「どういうことなんだよ!」


 あ〜、ヨハンからかうのは、おもしれ〜


「あれからずっとパトリシアがすごく俺にアピールしてきて リリちゃんが防波堤になってくれているから助かってはいるんだが……

 その度にアレクとも変な空気になって困る 

 パトリシアって何者なんだろうな・・・・怖い時あるよ」


「違うクラスでよかったよ」


「お前な〜!本当にそれな!それより今日お前に折り入って話があって、ほら以前お前のとこにきたシンファさん! あの人やっぱり俺の姉さんと違う人だったよ 実はさ双子の兄様と姉様帰ってきたんだ王国に」


「ええ!本当かよかったな」


 え?ティコじゃなかったってこと?

「あの時も遠かったから思い込んでいたんだけど、兄様と姉様の瞳ピンクじゃなくてブルーだったみたいで俺も別れた時小さかったから間違えてそう思い込んでいたらしい

 ちゃんと神殿で本人確認したから帰ってきた2人が本物の兄と姉で間違いない」


「それでなんで急に向こうから帰ってきたんだ」


「それな!ここからが驚くぞ

 兄様が王位継承権を辞退してその代わり公爵の爵位が欲しいといい出したんだ」


「別に驚かない、よくある話じゃないか」


「だ〜か〜ら! 最後まで聞いて!」


「その理由が、アリッサ・アッサムと婚姻したいから釣り合う爵位がほしいのだそうだ」


「アリッサ? ここでなぜアリッサが出てくるんだ」


「そう、驚くだろ 

 実は兄様セシルの領地の事お前も知ってるだろ 

 ガード領 兄様はガード領の騎士だったんだ

 ガード領復興のため頑張る兄様とガード領にボランティアで手伝いにきたアリッサが、恋に落ちたという話なんだ

 すでに兄様はアッサム公爵にも気に入られていて今はアッサム領で公爵様の元で働いているんだ」


「へぇー、知らない間にいろんな事がおきているんだなぁ」


「それは、お前が全然周りの事に興味持ってなくて気にしないから知らないだけだろ」


「ユリアス先輩の話も知らないだろ」


「ユリアス先輩、剣術大会のあとジェラミー公国の国王

 つまりユリアス先輩とユーゴスの親父さんに直談判してさ

 ユーゴスとミルフィーの婚約破棄してくれって頼んだのさ

 ユーゴスには、ミルフィーを幸せにできないって説得して

 それからユリアス先輩と国王がうちの父上のところに頭さげにきてもう大騒ぎだったのも、お前知らないだろ」

とヨハンがドヤ顔をしてくる


「うわ、全然しらなかった! ユリアス先輩すごいな〜」


「でも、そのユリアス先輩に助言したのは、お前の親父さんらしいぞ〜」


「ええええ? なんだそれ ! いつの間に? 父上がどうして?

う〜ん、みんな俺の知らない所で……」


「でも、いま1番みんなが興味あるのはお前が誰をパートナーに決めるかって事だってよ」


「はあ? なんだよそれこそどうでもいいんだけど」


「やっぱり、お前がどんな子選ぶのか興味津々なわけよ」


 ハーン、ハイネが言ってるのはこういうふうに興味本位に騒がれたくないというのと値踏みされたくないんだな 

 まあ それはそうだ


「なあ、誰に決めたか教えてくれよ」


「決めてない」


「なあ、本当は決まってるくせに」


「決まっててもお前には言わないし、本当に決まってない まあ当日をお楽しみしろよ」


「わかったよそうするよ」


 それにしても今日は衝撃が多すぎる……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る