第8話 はじめての遠征
北の砦は、ジーザメリウス邸から馬で、おおよそ半日で到着予定。
俺も自分の馬で移動する
馬の名前は、ショーン
ショーンは、綺麗な栗毛で、足は、白ソックス
立ち姿も美しい馬だ
アイドル時代にも、撮影やプライベートでも乗馬経験があるので「リル」の体でもすんなり乗れた
この世界での乗馬は、シファーに手解きを受けた
シファーは、馬が好きな様で普段無表情な男が
馬の世話をしている時は、微笑んでいる
そして、そのレアな表情を見るため使用人の女の子が、厩舎をのぞいているのを時折見かけるのだ
「ショーン、よろしく頼むな」とショーンのカラダを撫でるとそれに応えるようにショーンは、自分の顔を擦り寄せる
数枚の着替え等を入れた荷物と経口補水液を入れた水筒そして 腰には剣を差し出し出発しようとすると、身重の母が駆け寄ってきた
「母上、ご無理なさらずもういつ生まれてもおかしく無いのですから 」
「そうだ、無理をするな 部屋でやすんでいろ! 」
と父がすかさず母にいう
「ありがとうございます でも、お見送りしたかったのです
それに少しは、動いたほうがよろしいのですよ
コール リル 皆様もくれぐれもお気をつけていってらっしゃいませ」
静かに頷き応える父上
「母上も、くれぐれもお気をつけて! 」
「出発!」
カリアスが拳をあげ、声をだす
今回の討伐隊は、先発隊30名 砦で待機している10名と合流し、状態によって第2隊を出発させる予定だ
途中にある 最後の村で休憩をとり、砦に到着砦で待っていた10名と合流する
馬は、ここで降りてここからは、歩いて向かう
しばらく行くと、大きな湖が見えてきた
湖は、青空と白い雲を映しながら光を反射しキラキラと光っていた
湖の向こう側に大きな森がみえてきた
森に入る前に砦で合流した騎士から再度状況を確認する
俺ともう一人同じ歳のジルがカリアスに呼ばれた
「この森に住む魔獣は、森の生き物や、周辺の人間達と上手く共存し穏やかに暮らして いる。あちらから襲って来ない限りこちらから攻撃しないように
必ず、先輩騎士の間に入って進むこと」
うーむ、俺達ふたりは、経験値あげるための参加だから守られながら進めってことか
「とにかく、前にでず、無理はするな」
実は、勉強した魔法を試したくてムズムズしていたのだが、しっかり釘を刺されてしまった
カリアスが指示し、隊列を組み森に入ってくる。邸宅の近くの森には、よく遊びに行くがどうもこの森は、様子がちがう。入った途端、空気がヒンヤリしている
静かな森の中を進んでいく
木々が風に揺れ木の葉の重なり合う音と、
俺たちが、踏みしめる土や、枯れ木の音だけが聞こえ、木漏れ日が、俺達に時折降り注ぐ
しばらく行くと草陰からガサガサと音がする。ビクッとしながらジルが俺にしがみつく
シーン …… 何も出てこない
「す、すみません。リル様」と、ジルが真っ赤な顔をして焦りながらしがみついていた手を慌てて離した
「いや、大丈夫 」
実はおれもびっくりしたから……というのは、声にはださなかった
ひゃぁ、俺カッコ悪い…………
周りにいた先輩の騎士達がクスクス笑う。さっきまで緊張していた空気が一変した。すると、その中のひとりの騎士が、
「今日が、デビューだもんな
俺もそんなんだったから気にするな!」とジルの緑色の髪をワシャワシャしながらフォローした
ジルと同じ緑色の髪の青年 ジルの長兄のフレンだ
フレンとジルは、マーキュリー侯爵家の3兄弟の長男と三男だ 次男のジャックは、今アカデミーの1年生と聞いている
フレンは、少し歳の離れた弟達がとても可愛いようだ
「さあ、気を引き締めるぞ!」 フレンがみんなに声をかけた
そんなフレンを見て、マネージャーの沢渡さんを思い出した
兄貴のような沢渡さん思わず、「似ているな 」と小さく呟いた
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