第4話【自分知らずの大馬鹿野郎】
「くそっ、やっぱ治ってなかったか‥‥」
前日の痛みに悶えながらベッドで静かに休んでいる。
学校に休むことを連絡して、あとは晴也にも。
『なんで怪我しちゃった?』
「…………誰にも言わないか?」
『言わねーよ、そんな真似しない』
「…………白雪を、助けた」
『‥‥は? ‥‥それじゃ、昨日の事故で白雪さんを助けたのって、新だったのか⁉』
もう事故のことは広まってるのな。というか俺のことは知られてないって、何かあったのか?
「まあ‥‥そういうことだ」
『なるほどなー‥‥どうだったよ、白雪さん』
「…………確かに、みんなが言うように可愛かったよ。それは認める」
『ふーん‥‥珍しいな新がそんな風に女子を見るの』
「俺だって健全な男子だ。そういう目で見ても不思議じゃないだろ」
『確かにそうだけど‥‥やっぱ無かったって、新の恋バナ』
「こっ‥‥恋じゃない!」
『え? 俺は恋愛相談されてるんじゃなかったの?』
「ンなわけないだろバカ! この頭単純花畑野郎!」
『そ、そこまで言うぅ‥‥?』
「ったく‥‥そんな恋じゃない‥‥俺より相応しい奴は、大勢いる―――――――――――」
『やっぱお前、そういう目は馬鹿だよな』
「なっ‥‥馬鹿ってなんだ」
『お前はいい男だよ、きっとな』
晴也は電話に届かない場所でこう言った。
「…………まったく、とんだ大馬鹿野郎だぜ‥‥なぁ‥‥ユリ」
―――――――――うん、そうだね‥‥ハル
「だろ?」
『おーい』
『あっ、悪い‥‥そろそろ授業だから切るわ』
「おう」
通話が切れると、また部屋が静かになった。
「………寝よう」
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