目がさめたころのこと

 目が覚めた。

「ここはどこ。」

「ここは病院だよ。」

 誰かがここにいて,教えてくれた。声から女の人だと思った。

「あなたはあの日,車に轢かれて頭を打ったのよ。」

「あの日…」

 私はこの言葉を聞き,あの日のことを思い出した。私は猫を助けるために車道に出たけど,結局動けなくなって車に轢かれてしまった…そういうことだ。

「猫はどこ行ったの?」

「猫?なんのこと?」

 私の助けた猫はいなくなっちゃったの?どういうこと?

 心の中の気持ちが混みがってしまっていた。

猫はどこに行ってしまったのだろう…。元気にやっているのだろうか…。

「ひとまず元気になってよかった。外出てくるね。」

 と言い,彼女は病室から出ていった。あの人は誰なんだろうと思った。

病室の中は私だけになった。

私は風を浴びたいと思い,窓を開けにいった。風は涼しく,私の心を癒してくれた。外で遊ぶ男の子の声,桜の木から花びらが落ちきってしまって葉桜になっていた。きれいなものを見て感動してしまった。

すると,さっきの女の人が帰ってきた。

「なんで泣いているの!大丈夫なの!」

 と彼女に心配をされた。

「全然大丈夫だよ。…ところであなたの名前はなに?」

 そう私は聞くと,彼女は驚いた顔をしてこちらを向いた。

「それ本当に言っているの?」

「うん。あなたはだれ?」

「あなたの母親よ。」

 たしかにこのような人だったかと頭の片隅にあった記憶が蘇った。

 私は頭を打った衝撃によって,記憶が飛んでしまっていた。記憶喪失とまではいかないが,危険な状況にあるのには代わりがなかった。

 話していると,頭が少し痛くなった。痛みはすぐになくなったが,体に違和感を感じた。するとみるみると視線がは下がって行き,次第には四足歩行になっていた。

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