また来た。
迷宮の深部へと進む中、レオナルドは周囲に潜むモンスターたちを次々と討ち倒していった。腐りかけた肉を纏ったゾンビ、ガイコツのようなスケルトン、唸り声を上げて襲いかかるリビングデッド──どの敵も一撃で倒せるほど弱いが、それでも数をこなし経験を積むごとに自分が少しずつ強くなっていくのを感じる。
「まだ足りない……もっと強くならなければ」
ただ無心で剣を振るい、倒すたびに得られるわずかな力を体内に蓄え、少しずつ成長を実感する。契約の力と、自らの意志。これらが彼を他のアンデッドとは異なる存在へと変えていっていた。
数日が経った頃には、以前よりも明らかに力強く、速くなっている自分を感じることができた。もはやスケルトンやリビングデッドの群れ程度では、まったく相手にならない。彼の剣は鋭く冴えわたり、闇の中で次々と敵を斬り伏せていく。
だが、それでも──まだ、足りない。
レオナルドは焦りを抑えつつ、己を鼓舞し続けた。彼にとっての目標はただ一つ、あの圧倒的なデスナイトを打ち破ることだ。そのためには、この程度の敵を倒すだけでは不十分だと分かっていた。
そうしてさらに迷宮の奥深くへと進むうちに、ついにこれまでの敵とは一線を画す存在が目の前に立ちはだかった。身の丈ほどもある巨大な剣を構え、血走った眼を光らせるアンデッド・ウォリアーだ。スケルトンやリビングデッドとは明らかに異なる、冷酷な意志と戦士としての技量が感じられる。
「これは…手ごたえがありそうだな」
レオナルドは胸の奥で高ぶる戦意を感じながら剣を構えた。アンデッド・ウォリアーは彼に劣らぬ速度で動き、巨剣を振り下ろしてきた。彼はその一撃をわずかにかわし、すかさず懐に入り込んで反撃を繰り出した。
激しい打撃音が響き、二人の剣がぶつかり合う。アンデッド・ウォリアーもまた、ただのモンスターとは異なり、戦士としての誇りを持っているかのように、絶え間なく攻撃を繰り出してくる。しかし、レオナルドもすでに戦士としての技量を備えつつあった。鋭い攻撃を受け流し、確実に反撃の隙を見出していく。
そして数度の激闘の末、レオナルドは渾身の一撃でアンデッド・ウォリアーを打ち倒した。倒れた敵の体から溢れるエネルギーが、自分の中に吸収されていくのを感じる。それはこれまで感じたことのない力──確かな成長の実感だった。
「これで、ようやくお前に届くかもしれない…デスナイト」
新たな力を手に入れたレオナルドは、再び迷宮の中でデスナイトの気配を探し始めた。以前の自分とは違う、この力ならば必ずや勝利を掴むことができるはずだという確信があった。
やがて、再び重々しい足音が彼の耳に届いた。デスナイトが、またも彼の前に立ちはだかったのだ。黒い甲冑の奥から冷たい視線を送り、相手を見据えるその姿は、まるで再戦を望んでいたかのように見えた。
「さあ、今度こそ決着をつけよう」
レオナルドは冷静に、そして闘志を込めて剣を構えた。アンデッドの身でありながらも、熱い意志を秘めた彼の目には、決して揺るがぬ決意が宿っていた。この戦いを越えた先に、自分が目指す「人間に戻る」という未来があると信じて──。
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