第3話

「トリックオアトリート!ねぇ、あなた。私にお菓子をくれない?お菓子をくれなきゃイタズラするわよ?」


「…ん?あぁ、可愛らしい子。こんばんは。と言ってももう夜中だよ。帰らないと親御さんが心配するんじゃない?」


「どうもありがとう。でも、そんな心配いらないの。さぁ!お兄さん。早くお菓子をちょうだい!」


「そうなのかい?…あぁ、じゃあこれを」


「わあ!チョコレート!私が1番好きなお菓子よ!ありがとうっ!お兄さん」


「いいや、どういたしまして。…あぁ、言い忘れていたね。ハッピーハロウィン」


「ハッピーハロウィン!あ、そうそう!お兄さんのお願いはなぁに?」


「お願い?」


「そう!私誰かのお願い事を書くのが趣味なの!ねっ!だからお兄さんのお願い事、聞かせて!」


「お願いかぁ。…そうだなぁ」



去年、こうやって問いただした相手は、18歳の女子高生にだった。


彼女は、“ハイスペ彼氏が欲しい!”なんて言ってたっけ。お菓子もらったから、ちゃんと叶えたけど…


彼女のその後の行いったら酷いものばかり、、、。ほんと見てられなかったわ。


もちろんその後は別れてたわね。そりゃ、彼女の願いはハイスペ“彼氏”だからねぇ。旦那じゃないし。


いやぁ、あの男にも苦労をかけたなぁ。

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