流行よりも自分を信じる創作活動

星咲 紗和(ほしざき さわ)

本編

現代の創作活動において、流行やトレンドは避けられない存在です。SNSやメディアは次々と新しい流行を生み出し、多くのクリエイターがそれに影響されます。一見、流行に乗ることで注目を集めやすくなり、短期間で評価を得られるように思えます。しかし、長い目で見たとき、それが本当に自分にとって価値ある創作なのか、あるいはただ「流行の一部」として消費されてしまうのかを考えることは重要です。


流行は時代を反映し、私たちに新しいアイデアやスタイルを提供してくれます。そのため、流行を意識することは決して悪いことではありません。特に、創作のアイデアが停滞しているときには、新しい刺激として役立つこともあります。しかし、流行に流されることで、自分の創作の「核」が見えなくなってしまうことも少なくありません。流行に乗るあまり、自分が本当に表現したかったものを見失ってしまい、自分らしさが薄れてしまうリスクがあるのです。


たとえば、多くの人が興味を持っているテーマやスタイルに合わせて作品を作り、それが成功したとしても、それは「その時の流行」に依存した評価です。その流行が去ったとき、その作品がどう評価されるかは未知数です。むしろ、流行が去った後でも支持される作品は、創作者が自分の内面から湧き出るアイデアを大切にし、それを純粋な形で表現したものが多いのではないでしょうか。


流行に左右されない創作活動を続けるためには、まず自分の信念や価値観を見つめ直す必要があります。自分が何を表現したいのか、どのようなメッセージを伝えたいのかを明確にすることで、流行に惑わされずに済むのです。このプロセスは簡単ではありません。時には孤独な戦いに感じることもありますし、他者から理解を得にくいこともあるでしょう。周りが流行に従って成功を収めているように見えるとき、自分だけが逆行しているように感じて不安になるかもしれません。


しかし、そのような孤独な時間を通して、クリエイターとしての本当の力が育まれます。自分の中にあるアイデアをじっくりと掘り下げ、磨き上げることで、唯一無二の作品が生まれるのです。これは、流行に影響されて作られたものとは一線を画し、時間が経っても色あせることなく、深い価値を持つものとなります。どんな流行が来ようとも変わらない、自分だけの表現がそこに詰まっているからです。


また、流行を追わないことは、創作における自由をもたらします。流行に縛られることなく、心の赴くままに作品を作ることは、創作者にとって大きな喜びです。たとえ評価がすぐに得られなくても、自己表現を通じて充実感を得ることができます。創作活動が他者の評価や流行に依存せず、自分の心に従って行われるとき、初めて「本当の創作」と呼べるのではないでしょうか。


もちろん、流行を完全に無視することが良いというわけではありません。流行の中には、社会的なテーマや新しい技術が含まれていることもあり、それらを取り入れることで作品の幅が広がることもあります。しかし、流行を参考にすることと、流行に依存することは異なります。重要なのは、流行に取り込まれるのではなく、自分の信じる表現を軸に据えて、必要な部分だけを取り入れる柔軟さを持つことです。


自分を信じて創作を続けることは、長期的な視点で見たときに大きな力を持ちます。自分の内側から湧き出るアイデアを尊重し、それを形にすることで、たとえ周りの評価が得られなくても、自分にとっての誇りとなる作品が残ります。それは、単なる流行の産物とは異なり、時間を超えて多くの人々に共鳴する可能性を持っています。


私たちは、流行に振り回されることなく、自己信頼に基づいた創作活動を続けていきましょう。その過程で得られるものは、表面的な評価や人気ではなく、創作者としての誇りと、深い自己満足です。創作活動は、他者の評価や流行の影響にとらわれず、自分の内なる声を信じて行うとき、真に意義あるものになると私は信じています。

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流行よりも自分を信じる創作活動 星咲 紗和(ほしざき さわ) @bosanezaki92

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