第70話 もうひとりのアリス前編
魔塔でブーケを調べてもらったが、結局何もでてこなかった
あの、ブラウンの男性についてもわからないままだった
何か、引っかかったままだが、時間は私達の足をとめてくれない
領地改革のため毎日慌ただしく動いていた
カレンが提案した改革案を元に下水、水道をひきそして道路も整備した 人の手でできるところはギルドをとおして働き手をさがし、魔導具などの設置で魔力が必要なところはセラとテリウスが中心となり魔塔の力も借りながら形になっていった
衛生面や医療についてはアリスとキャロが領民に指導しながら領民の女性を中心に広がっていった
診療所の各地への設置や王都にあるステインの病院への連携は、ステインが中心となり、またアカデミーの医療科の生徒の育成にも力をいれていた
クレアとリチャードは、土壌の改良と 穀物の改良品種そして農具の魔導具を広げていった
カレンとジュンは商才でいかした人との繋がりを生かして
領地同士、そして王都への運送ルートを確立していったのである
いつの間にか、私達で計画していた領地改革計画はウィリアムやフェリックスの耳にはいりいつしか国をあげての改革計画となったのである
あっという間に1年以上がたってしまっていた
領地もかなり整備され、どの町も村も清潔でいて そして人々の笑顔であふれていた
そして私たちの城もちゃんと使用人を再雇用し、城の中も活気に満ち溢れていた
「やっと結婚式なんですね、セラ様」
「ああ、テリウスそうだな……そうだな、もう5日後になったな ここ1年ずっと忙しいうえに式の準備もあったからテリウスも大変だったろ すまなかった」
一時期は魔塔にいずれは戻るといっていたテリウスもすっかり落ち着いてきてくれたようだ とセラも安心していた
「セラ様、大変です」
サティスが、息をきらして慌てて執務室へと飛び込んできた
「サティス、落ち着いて」
「テリウス、大変なの アリス様が」
「アリスがどうしたんだ」
「アリス様がお倒れになって意識がありません」
たちまち、セラの顔が青ざめ持っていた書類の束が手から落ちていった
そのまま、セラはアリスへの部屋へと駆け付けた
ベッドには、ただ横たわるアリスの姿があった
「おい!ステインを呼べ! アリス! アリス!」
息はあり、心臓もうごいているけれど アリスの反応が一切ない
ステインとキャロが駆け付け診察をするが、
「体には何も問題ない…… ただ眠っているだけだ」
「眠っているだけ……」
呆然と立ち尽くすセラ……
ロイやエリィもアリスの「気」もマナにも問題ない
という
あの時と同じだ…… ちがうのは今はアリスは魔力も何も使っていないはずなのになぜ?
とセラはアリスの手をにぎりしめながら祈った
そして、返事をしないアリスにあの時のように名前をよびつづけるのだった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます