第41話 情報ギルドLUSH

 

「という訳で、ギルド長今あちこちで影同士がバッティング状態が酷くてですね マリア嬢と王宮のあの方達の部屋なんて隠れ潜むところなんてない状態です! 」


「ぷっ!ふははは、そんな話聞いた事ないよー!は〜、おかしい」


「今、おかしい状態です」


「それで、お前のその情報と相手の主達は確かなんだろうな」


「勿論」


「まあ、俺もそろそろかなって思ってたから みんな呼び出しちゃおうかな」

 金色の髪のギルド長は、引き出しから何通かの封筒を出し影に渡した


「この人たちにこの封筒そっと、それでいて確実に渡してくれ」


「御意」


 そう言って影は、消えた


「あ! そう言えばあの人今他国にいるんだっけ」

 机の大きな引き出しから通信魔導具をだした


「やあ、魔塔主、今アズールレーンにいるあの人こっちに帰ってきてもらって、欲しいんですよ

 そうちょっと用事あるから……

  あと、いよいよ回り固めていきます

 実行の時は、魔塔主の力お借りいたします……

 はい、私達はいいんです……

 ずっと覚悟していますから……

 私達が終わらせないと…… はい、よろしくお願いいたします」


 そう言って通信を切ったギルド長は、「フゥ〜」と息をはき、椅子にもたれて宙をみつめた


「歪んで絡んだ道は、元に戻さないと」なぁ、と机にいた黒猫の頭をなで

「茶番は、もう終わりだ にゃあ」と黒猫に顔を近づけた


 ◇◇◇◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇◇◇◇


 ブライアン・アンダーソン宰相と部下達は、この国の現状を隅々まで調査をして愕然としていた……

 領地格差があまりにも酷い事であった

「ここまで酷いとは……」調査していくうちにその原因と思われる人物、そしてこの国の暗い闇に辿りついてしまった


「宰相様…… これは…… 」


「この件は、まだ決して他言無用決して口外するな」


「宰相様、お手紙が届いていますが……」


「情報ギルドLUSH…これは一体いつ……

 あ?先程私に手紙を渡したものは?」


「え? なんの事でしょうか?」


「いや……」そういいながら封蝋を開け手紙を読む


「ふむ…… あまりにも……な とりあえず行くか」

 手紙に書かれていた人通りの少ない酒場にいくと カウンターしかない小さな店だった


「いらっしゃいませご注文は?」


「カンパリを使ったネグローニはできるか?」


「お客様、こちらのお部屋へどうぞ 」


 店の男が開いた扉は、ふたりくらい通れるかどうかの狭く暗い廊下だった


「小さな店かと思っていたらえらく長い廊下なんだな」


「ふふ、そうですね よく言われます」


 突き当たりにドアがあり開くと 小さな応接セットと机があり、机には金髪の男が真っ黒のメガネをかけてひじを机におき口元で手をくんでいた


 あんな真っ黒なメガネで見えるのか……? 若そうな奴だ


「手紙を読んだ 君がここの責任者か?」


「はい、私は、情報ギルドLUSHのギルド長

 ようこそ、アンダーソン宰相

 あなたを呼んだのは他でもない私達とあなたたちの共通の敵を潰してこの国を元の道筋に戻しませんか」


「同じ敵というと…… 」


「宰相、あなた達が苦労して調査しているのも、この国の腐っている場所がどこなのか、原因は、誰にあるのかわかっているはずだ……」


「私達というと他にもだれか?」


「次の扉をあけるのはあなたの返事次第だ」


 どうする……この怪しげな男の提案にのるのか…… いや、しかし……

 アンダーソン宰相は、しばらく悩んだ……


「宰相、そろそろお答えを……」


「手を組ませてもらう」


「ありがとうございます、これで全員揃いました 皆さん中でお待ちしておりますよ」


 部屋にある扉を開けると大きな円卓があり、既に集まっていた者が座っていた


 キャラウェイ公爵、ヴィユンティ侯爵、ノア・スタンウィル セラ・ヴィユンティ

 テリウス第二王子


「ノア・スタンウィル セラ・ヴィユンティ テリウス第二王子 3人も学生ではないか」


「宰相、セラ・ヴィユンティはもう学生ではなく魔塔に属してる魔法使いです……3人確かに3人ですね 学生は……私もまだ学生なので」ギルド長がメガネを外しながら言った


「フェリクス王子! 」


「まずは、あなたにはロビンの事で大変な思いをさせてしまった 申し訳なかった

 しかし、そのおかげであなたは重い腰をあげてくれたわけだが……」


「ぐ……」宰相は、言いたいことを堪えた


「はっきり言ってここにいるもの全員当事者だ、弟夫婦を殺されたもの.姉夫婦を殺されたもの…… そして両親を殺されたもの」


 ノアが左手小指にはめていた指輪をはずした

 すると瞳の色が赤い瞳へと変わった


「では、あなたは……」


「そう、彼はあなたの友人でありあなたが仕えていた前国王陛下の嫡男ウィリアム・サラスーラだ」


「生きて……生きていらしたんですね」


「彼は、あの日火災のあった船からミラー辺境伯が助け出し今まで身を隠していたんです、最初は、我が家で従者の子供として暮らしていたんですが私が弟の娘を引き取った事が知られてしまい目をつけられたのでウィリアム様に手が及んでは、いけませんのでしばらく他国で暮らして頂いていました」


「そうだったんですね、キャラウェイ公爵様の姪御さんというとあの……」


「とにかく、共通の敵を排除しこの国を元の正しい道に戻すことが目的なんです

 ですから皆さん私達兄弟に力を貸してください」


「しかし、王子本当によろしいんですか」


「ええ、これは私達兄弟の幼い頃からの悲願なんです……

 そして、私達も母親を殺されています……私達の母親は王妃ではない……

 髪色がプラチナブロンドだけだという理由でダリウスに手をつけられた侍女だ」


「!」この事実は、はじめて皆が知らされたのか全員が絶句した


「もうしばらくは、恋に狂ったばかな王子で僕はいます

 皆さんあと、少しもう少しなのでその時僕達に力を貸してください」


 フェリクスが手をだすと次々とみんなが手を重ねていく

 その時、アストリーがセラの耳元でなにかを囁いた


「すみません、申し訳ございません先に失礼します」

 そう言ってセラは、慌てて飛び出していったのであった


「ふむ、大魔法使いになるものは忙しそうだな」

とフェリクスが笑った

 ノアは、その時セラの様子を気にも留めていなかった



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