第38話 家族の肖像
交流会の朝だ、ベッドの中でスヤスヤ寝ているとヴィユンティ侯爵家の侍女長スーニャに起こされた
「姫様、さあ交流会は夜でもレディは、朝から戦いですよ」
「ふぇん、スーニャ…… もう少し……」
「姫様! ダメです」
スーニャは、領地にいる侍女長 私の支度をすると領地からおじい様達とやってきたのだ
「坊っちゃまのご用意も出来るとはりきっておりましたのに……
その分、そして今までの分スーニャは頑張らさせて頂きますよ」
「お手柔らかに……」
お兄様〜、
もう……こんな所にも余波が……
あっという間に朝食を食べさせられて、もうそこからは
正にされるがまま……。
「姫様、本当に美しく成長されて…… 」とスーニャは、涙ぐみながら髪をとかしてる
「それにしても、セラ坊っちゃまも美しく着飾られた姫様見たかったでしょうに……
姫様も見て頂きたかったですよね
なのに魔塔のお仕事なんて
姫様と坊っちゃまが並ぶ姿拝見したかったですのに」
「スーニャ…… 、
私のパートナーは、ノア様という方なのよ とても素敵な方よ」
「そうでしたわね!失礼いたしました
贈られたドレスも素敵なものばかりっ!
全てお召になって頂きたいですわ」
まわりの侍女達もウンウンとうなづいている
「スーニャ、今日は、1着でお願い」
肩に大きなリボンがついていて銀糸の刺繍がさりげなく施されていて流れるようなドレープが美しいスタイリッシュなデザインのドレス
「宝石は、いかがいたします」
「いつもつけているこのネックレスを着けても大丈夫かしら」
「姫様の大切にされている赤い石のネックレスですね 素敵だと思いますよ
大切な時に大切な物を身につけることは素晴らしいと私は思います」
「ありがとう、スーニャ」
全ての支度を整えて、部屋をでるとおじい様とおばあ様が立っていらした
「アリス、本当に素敵だわ」
エントランスには、もうノアが迎えに来ていた
黒地に銀糸の刺繍を施したタキシードは、黒髪のノアにとてもよく似合ってる胸ポケットから見える上品な薄いピンク色のスカーフが彩りを醸し出していた
おじい様にエスコートされ階段を降りていく
ノアが、おじい様とおばあ様に
「アリス嬢、本日パートナーとして大切にエスコートさせて頂きます」
と挨拶をした
ノアが、差し出した腕に手を添えると
「あなた、ふたりが並ぶと…… 本当に……」
とおばあ様がおじい様に寄りかかりながら泣きだした
「ああ、ふたりには、申し訳ないが本当によく似ている」
とおじい様も涙を浮かべた
あの、前国王陛下の家族の肖像画 国王陛下は、黒髪に赤い瞳
瞳の色は、ノアとは違うが重なってしまったのであろう
でも、確かにノアによく似ている……
どうして今まで気がつかなかったんだろう
いや、気がつかなかったのではなく気がつかないようにしていたのかもしれない
ノアは、今日の私達の姿をおじい様とおばあ様に見せたかったのだろうか
そして……あの……
段々と点と点が繋がってきた……
でもまだ、何かが見えてない そんな思いが頭の中に押し寄せてくるけれど
感情を抑えてニッコリ笑い
「では、行ってきます」
とヴィユンティ侯爵家の人達に挨拶をし、馬車へと乗った
馬車に乗るとノアが
「先程言えなかったが、アリス、綺麗だ よく似合ってる」
と少し頬を赤くして微笑んだ
「ノアも、凄く素敵だわ 素敵なドレス本当にありがとう」
「ああ……」
ノアは、一層赤い顔になり顔をそむけた
馬車の中では、たわいない話をしていてあっという間にアカデミーに着いた
アカデミーは、とても華やかに変わっていて普段のアカデミーとは全く違う雰囲気になっていた
ノアにエスコートされ会場にはいる 入る前からずっと視線が痛い
覚悟していたけどねと思ってたら ノアが私の体を引き寄せた
「!」
「君にまとわりつく視線がうっとおしくてね」
いやいやいや…… と思いながらノアの腕に添えた手につい力が入ってしまった
会場に入ってからクレア達と合流した
お互いに褒めあったり たわいない話をしたり挨拶をしていたら会場がザワついた フェリックス王子 テリウス王子 そしてそれぞれのパートナーであるマリアとアイリーンが入場してきたからだった
来賓は既に着席しているキャラウェイ公爵のおじ様夫婦の姿も見つけた
その後、国王陛下、王妃会場に入場し着席した
フェリックス王子のファーストダンスで交流会が始まる
しかし、彼は思わぬ行動をするのでした
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