第30話 図書館での秘密

「あれ? アリス最近お気に入りだった黒いリボンつけてないね」

 やはり、気がついたのは、ウエスト女子寮が誇るオシャレリーダーのカレンだ


「あ、ちょっとね

 今日はこの薄いピンクの気分なの」


「それも好きだよね 髪色にあっていて」


「そうなのー」と笑って誤魔化す

 まさかノアにねだられて持っていかれたなんて言えない


 今日も、移動教室の時も演習場前通る時も、ノアとセラお兄様に会わないようにと祈っていた

 やっと放課後、クレア達と図書館で勉強する為向かう

 黙々と4人で真面目に勉強していた


「あ、この魔法陣の問題わからないや」


「これ、難しいんだよね

 私も分からなかったよ」


「あ、これはえっとね わかりやすい解説の本この間見たの

 本を見ながらの方がわかりやすいから待っていて その間休憩していて」


「アリス私も行こうか?」


「ひとりでも大丈夫だよ」

 そう言って本を探しに行った

 すると前からマリアが歩いてきた

 珍しくひとりでキョロキョロしながら歩いている

 誰か探すのに夢中なのか 私には気づいていない様子だ


 わ!いよいよ初対面?

 でもできれば避けたい そう思って私は、すぐ近くの本棚の奥の奥

 人目のつかないところに思わず隠れてしまった


 どうか通り過ぎますようにと思っていたら

「マリア こんな所にいたのか」

 とフェリックス王子の声がした


 マリアは、フゥ〜というため息をついたあと

「リック様」

 と急に先程のため息とは、違うトーンで王子に呼びかけた


 ふたりが何か話しながら出ていく気配がした

 それにしても、王子を愛称で呼んでいるのか……


「あーびっくりした」

 と小声で独り言を言っていたら

 急に後ろから肩を掴まれた 

 びっくりして

「きゃ……」と叫びそうになるとくるりと体制を変えられて本棚を背中に片手で抱かれてもう片方の手で口を塞がれた


「しー!静かに アリス 僕だ セラだ」


「!」

 お兄様と言いたいが口を塞がれて何も言えない


「ああ、ごめん驚かした」

 お兄様は、口を塞いでいた手を離しながら謝った


「びっくりした……

 どうしたんですか こんな所で」


「さっきの彼女に追いかけられていて隠れていたんだ」


「マリアさん?」


「そう、悪いけど最近特にしつこくてね」

 そう言いながらさっきまで口を塞いでいた手で、私の髪を優しく遊ぶ


 急に顔を近づけて 薄いピンクのリボンをほどき、

「このリボンもらっていくね」

 と耳元で囁いたと思ったら

「じゃあまたね、勉強わからないところあればいつでも教えるよ」

 と頭をポンポンとしてその場を去ってしまった


 お兄様……やめて本当に心臓に悪いから ……

 イケメンの近距離は、心臓に悪い

 幼い頃から見慣れているとはいえ、最近のお兄様には

 なんというか大人っぽくなって……困る……

 それに、先日の食堂でのダリア先輩とのやり取りを思い出した

 こんな事じゃあいけないと頭では、思っていてもドキドキは、止められなかった

 そのあとドキドキしながらも探していた本を見つけてみんなのところに戻ってきた


 平常心……平常心と唱えながら勉強を続けたのだ

 本当に心臓に悪い……

 寮に帰り、またいつものように部屋で4人でいる時、聞いてみた

「あのさ、今ってリボンプレゼントするの流行ってるの?」

 ???

 みんな不思議そうな顔してる ……

 わぁー!聞いたの失敗だった?

 やっぱり偶然?

 と思ったらカレンが

「私もジョンにねだられたわ そういえば! ほら、私達って好きな人とか婚約者の色付けるからさ 相手の色のリボンとかつけるじゃない そのリボンねだられたわ」


 好きな人の色??????


 いやいや、偶然なんですけど……

 え? あのふたりがそんな流行りに乗っかってるの……


 この前、あの2人との距離感気をつけようと思ったところなのに……

 いや、私じゃないあの2人の距離感おかしすぎる

 私は、悪くない!


「なにアリス?リボンどうかした?」


「ううん、何もないよ」

 いや、秘密だよー 言えない流石に……


「なに?」


「いや、私の友達の話なんだけど…」


 アリス…… はっきり言ってあなたの友達って私達しかいないよね……


「それで? 友達がどうしたの」

 キャロが更に詰めてくる


「友達が、最近……そのふたりの男の人に なんというか 好意を持たれているような素振りをされていて……」


 ふんふん、ノア様とセラ様か……


「なんか急に積極的というかリボン取られたり」

 あ、黒いリボンとピンクのリボンね……


「ひとりは、今までお兄様のような存在で、もうひとりは、急に現れた男の子で…… でもその子は、昔から好きな人がいて」


 ウィルがここでもでてくるんかい


 クレアとカレン、キャロは、アリスの話する友達の話に心の中でツッコミながら聞いていた、


「でも、アリスって今までそういう経験ないから 普通誰でもそんな事されたらドキドキしない?

 少なくとも相手に対して好意がないとドキドキしないけどね

 ただ、ウィルの事は思い出にしがみついている感は、否めないげど……

 ちゃんと1歩ひいて冷静にノア様とセラ様の事はゆっくり見ていけばいいんじゃないかな 焦らずに…… ね」

 とキャロが口をひらいた


 キャロ……名前だしてるし……とカレンとクレアは、苦笑いはしていた


「キャロ〜! ありがとう わかったゆっくり見ていくよ」


 アリスに至っては、友達の話と違うのか?

 となってしまう クレアとカレンだった


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