第8話 隠された図書館
アイリーンを見送り、家へ向かっていると温室前で鍛錬後のウィルとあった
「え?ウィル珍しい場所であうわね」
「アリスこそ、俺は、いつもここを通るんだ……」
「こんな所?」
「おまえこそ、どこに行くんだ」
「実は、この向こうに私の住んでいた家があるの」
「え? 家ってあの小屋じゃない
家…… おまえが住んでいたのか」
「なんだか、今凄く失礼な事言われた気がしたけど……まあ、昔両親と一緒に住んでいた家なの 」
そういいながら睨みつけるとわざとらしくウィルは、目をそらした
「まあ、いいわ、ウィルもし良かったら一緒にいく?」
何故だろう誰かに言うつもりも無かったのに自然とウィルに声をかけてしまった
「いいのか?」
「その代わりと言っちゃあなんだけどお掃除手伝って」
「ちゃっかりしてるな」
鍵をおじ様から頂いてから家の掃除や管理も自分でしているのだった
家の窓をあけ掃除をし、今まで開くことのなかった部屋の前に立った
1人で開けるには、実は勇気がいったのだが、今は、ウィルがいる
不思議と部屋を開け何があってもウィルなら私の力になってくれるような気がしたのであった
ウィルに今までの自分の事情を話して、(流石に前世のことや光の魔力や魅了の力の話は、出来なかったけど)一緒に部屋を調べてもらうことにした
この3本のうちこの部屋の鍵があるはず 3本の鍵をもち部屋の鍵穴に近づけると1本の鍵が緑色の光を仄かに纏った
「え!」私とウィルは、同時に声をあげ驚いてしまった
鍵を鍵穴に差し込むとカチャンと音をたてて開錠した
ゆっくりと扉を開くと図書館のような部屋だった
「こんな小さな家の中にどうしてこんな図書館が……」
そう言ってウィルがおどろくのも無理は、ない
公爵邸の図書館ほどはないにしても簡単な2階もあり壁は、みっちり本棚があり
そして、暖炉にソファまである
私がポカンと口をあけびっくりしていると
ウィルが驚きながらも
「いずれにしても、この部屋の鍵にしてもそうだしこの部屋自体もだがアリス君の両親は、ふたりとも規格外のチカラを持っていたんだろうな」
「でも、私はふたりのこと何も知らないの
そして、自分自身のこともわからないの
ウィル、私どうすればいい? 凄く…… 凄く不安なの」
そう言って泣き崩れてしまった
ウィルは、私を包み込むように抱きしめながら
「アリス、そりゃ誰だって自分が何者かわからなければ、進むべき道がわからなければ不安だよ ましてや、俺達はまだ子供だ なにのチカラもない唯の子供なんだ」
ウィルは、そう言いながら私の涙をソッと拭った
「今俺達が出来ることは、その時の為に知識と力をつけること」
「知識と力」
「ほら、アリスこの図書館がきっとご両親が遺してくれたアリスにとって必要な知識と力なんだよ それと……」
「それと?」
「子供の俺達がしなければならない事は、いい大人を見極めて彼等に力になって貰う事だ」
「頼るということ?」
「そうだ、今の俺たちなんて悪い大人にかかるとあっという間に捻り潰される
信頼できる大人に今は頼ってその間に自分自身チカラをつけていつかその恩を返せばいいと俺は思っている」
ああ、リック師匠の言っていたウィルの覚悟ってこういう所からきているんだな
「アリス、俺も協力するから」ウィルのその一言で何故か心が軽くなった
そして、その日から時間がある時は、ウィルと、この家の図書館で過ごすことが増えた
いつしか私達にとって心が許せる大切な場所になっていた
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