第10話 オーガ、ロックに挑む
ロックはアーダルベルトに課税のことについて質問する。
「今、この国では住民から利益の4割を税として徴収していますがどう思いますか。」「ロック様は税が重いとお考えですか。私は今のままが良いと思っています。」
「僕は税のことは分かりません。王城に戻れば、課税のことを決めることになるでしょう。」「ロック様は、町の通行料を廃止しました。私たちの収入はかなりの痛手を受けました。」
「代わりに民衆からの税収が増えただろ。」「よくご存じで、しかし、損失を埋めるまでにはいっていません。」
「民衆への課税を減らされると困るんだね。」「その通りです。」
「分かった。参考にするよ。」「よろしくお願いします。これは貴族の生活に関わってきます。」
ロックは、これから貴族には厳しい時代が来ると考える。宰相のカールやディルクたちは貴族は必要ないと考えている。ユリアンに至っては国民主権の法律を作ろうとしている。
税収の減少や立場の変化に対応できない貴族は消えていくしかないだろう。アーダルベルトはどうだろう。贅沢な暮らしを辞めれば、カリーナの商売もあり生き残れるのではなかろうか。
リースはゼーテ商会からアロイス・ヴェンツを呼んでいた。彼はリースが見つけ出した人材である。目立たない店員から支店長に大抜擢されたのだ。
アロイスが到着するとリースは引継ぎをする。アロイスはカリーナの助けを借りながら支店開店の準備を始める。
ロックとリースは、ディートハルトと兵たちと王都へ旅立つ。
王城では、アリソンがオーガを焚きつけていている。
「私は強い男が好きなの。あなたはたくましいけど強いの。」「もちろん強いぞ。人間など弱すぎて相手にならないくらいだ。」
「ロックに勝てるのかしら。」「ロック様は特別だ戦ったりはしない。」
「もしかして、ロックに負けたのかしら。」「そうだ、俺はロック様に負けて、従うことにしたのだ。」
「まあ、ロックに惚れてしまいそうだわ。」「そんなこと言わないでくれ。アリソンを愛している。」
「私もオーガのこと好きよ。でも、ロックに頭が上がらないのね。」「ロック様は俺たちの王だ。」
「オーガ、王になりたくない。」「いや、俺は頭が悪いからみんながついてこないよ。」
「そんなことないわ。ロックに勝てば王様になれるわよ。」「俺はロック様について行く方がいい。」
「ロックに勝って欲しいなー」「アリソン、やめてくれ。」
「お願い、ロックを叩きのめして。」「それはできない。」
「私のこと好きではないのね。」「そんなことないよ。」
「だったら、ロックと戦って。愛してあげるから。」「分かった。戦うだけだぞ。」
オーガはアリソンに頭が上がらなくなっていた。アリソンを甘やかしていたので立場が逆転してしまっていた。
ロックたちが王城に帰ってくるとオーガがロックの前に立ちふさがる。
「ロック様、頼むから俺と戦ってくれ。」「急にどうしたんだい、オーガ。」
「ロック様、済まない。」
オーガは突然、ロックに殴り掛かる。オーガは鍛えているので以前より強くなっている。それでもオーガの動きはロックにとって脅威にならない。
拳がロックを完全にとらえたと思ったが余裕でかわされる。ロックはオーガに言う。
「アリソンに言われたんだね。」「何も聞かないで戦ってください。」
オーガは左腕を横に振る。ロックはオーガの腕を左手で受け止める。オーガは腕を引き離そうとするが、ロックは掴んだまま放さない。
オーガは力でもロックに勝てないことを確信する。オーガは力を抜く、これ以上やってもロックにはかなわないと分かったのだ。
迎えに出ていた宰相のカールがホブゴブリンにオーガを捕えるように命じる。さらにアリソンも捕えるように指示する。カールがロックに言う。
「反逆は見過ごせません。今から玉座の間で処分を審議します。」「そんなに大げさにすることかな。」
「これは王への反逆ですよ。」「オーガは仕方なく戦おうとしていたみたいだったよ。」
「それでも処分は必要です。」「分かったよ。」
ロックが玉座に着くとカールは横に立つ。審議にはその場にいたリースとディートハルトも立ち会う。
オーガとアリソンがホブゴブリンに引っ立てられて来る。オーガとアリソンが正座するとカールが罪状を言う。
「オーガはアリソンにそそのかされて、我らの主君ロック様を襲ったのに間違えは無いか。」「いいえ、俺の一存です。アリソンは関係ありません。」
「アリソンに問う。今回の件に関りは無いのか。」「あります。オーガにロックを叩きのめすように言ったのは私です。」
「主君に恨みを持つのか。」「はい、死んでしまえばいいと思っています。」
「カール、アリソンが僕に恨みを持つのは当然だよ。」「これは放置していい問題ではありません。」
「アリソンは1カ月牢に幽閉する。オーガは逆らったらアリソンを失うことを体験してもらう。」「ロック様、軽すぎます。」
「ロック様、1カ月もアリソンと会えないなんて耐えれません助けてください。」「オーガ、君は大変なことをしたのだから罰を受けないといけない。」
「ひどすぎます。許してください。」
オーガは泣きながら許しを懇願する。カールは馬鹿らしくなってロックの裁定に文句を言うことをやめた。
アリソンと離れ離れになったオーガは日に日にやつれていく。1カ月牢に入っていたアリソンはやつれ果てたオーガを見て、もうオーガをロックにけしかけることをやめる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます