第25話 王族処罰会議

 ロックはディルクを連れて城に入る。城の食堂へ行くとリース、四天王、ディートハルトたち、ヤコブ隊長、中西、オーガが集まっていた。

 ディルクは部屋にいるメンバーを見て緊張をする。フールがロックに言う。

 「この方は誰ですか。紹介してください。」「ディルクさんです。街の顔役をしているので民衆の代表として来てもらいました。」

 「そうですか、私は四天王の1人、風神フールです。ぜひ、民衆の代表として意見を聞かせてください。」「ディルク・グラッェルです。よろしくお願いします。」

フールが話を進める。

 「婿殿が見事に兵の処罰を決めてくれました。」「私は彼らを信用していません。」

中西が発言するとグラムが答える。

 「俺に任してくれ、基礎体力訓練をして忠誠を試してやる。」「分かりました。私は王族を処分できれば言うことはありません。」

 「まず、この国の混乱を沈めなければなりません。」「それなら街の役持ちたちが他の町や村へ報告することになっているからそれを使えばいい。」

 「ディルクさん、お願いできますか。」「もちろんですがみんなが納得できる内容でないといけません。」

 「もちろんです。まずは町と村の安全の保障と徴兵をしないと約束します。」「それはありがたいが、ゾフィー女王が徴兵したため村の農作物の収穫が激減しています。」

 「冬は越せそうですか。」「貧しいものと村の者は難しいと思います。」

フールがホブゴブリンの兵に言う。

 「城の経理を担当していた者を連れてきなさい。」「はっ。」

城の経理担当者が連れて来られる。経理担当者は怯え切っている。

 「あなたに聞きます。城の食糧庫にはどのくらい貯蔵されていますか。」「ほぼいっぱいにあります。」

 「貨幣はどのくらい、ため込んでいますか金貨で10万枚ほどです。」「ほう、かなり多いですね。」

 「私がしたのではありません。命令でして。」「分かりました。中西さん、財務大臣をしてください。この者はあなたに預けます。食料と貨幣の量を確かめて管理してください。」

 「財務大臣ですか。」「経理の仕事をしていたのですよね。」

 「そうですが、復讐が済んでいません。」「大丈夫です。王族の処分はみんなで決めます。中西さんの意見もちゃんと聞きます。」

 「分かりました。お引き受けします。」「ディルクさん、食料を村へ配給します。町には、商人に金貨を与えて食料を他国から買い付けさせましょう。」

 「それはありがたい。税はどのくらいになりますか。」「今後話し合うつもりです。ただ、町に入る通行税は廃止しようと思っています。」

 「通行税を無くすのですか。それでは国の税収が大きく減ります。」「今から話し合います。」

 「通行税とはなんだ。」

オーガが聞く。

 「町に人々が入る時に払う税金です。」「俺たちはどこに行こうが自由だ。おかしいだろ。」

 「オーガは廃止に賛成ですね。他に意見はありますか。」「これからは軍を維持するのだから財源は必要です。」

ディートハルトが言う。

 「説明しましょう。通行税を廃止すると人々の往来が盛んになります。そうすると流通が大きくなって国が豊かになります。そうなれば、通行税など必要ありません。」

フールの言葉に中西とロックを省いた一同が考え込む。中西が言う。

 「フールさんの言うとおりになると思います。」「僕も賛成するよ。」

ロックが言うとみんなが賛成に回り、通行税は廃止になる。フールがディルクに言う。

 「今、伝えられるのはこのくらいですが、どうですか。」「十分だ。みんな、あんたたちを歓迎するよ。」

 「それでは、ニコル・ド・バシュラールの処遇について決めましょう。」「首をはねて、さらせばいい。」

中西が言う。ロックが言う。

 「縛り首はどうかな。彼は僕を縛り首にしようとしたからちょうどいいと思うよ。」「では、縛り首に賛成の方は挙手を」

中西以外賛成する。

 「次にゾフィー・ド・バシュラールはどうしたらいいですか。」「意見を言わせてください。民衆は彼女に苦しめられました。死ぬ前にどれだけ憎まれていたか思い知らせたいです。」

ディルクが怒った顔をして言う。

 「そうですか、殺す前に裸足で街の中を引きまわしましょう。」「火あぶりはどうですか。」

ディルクが提案する。ディートハルトたちが何か言いたげだったが、結局発言しなかった。

 「他に意見がないようなので火あぶりにします。次に2人の娘ですがどうしましょう。」「待ってくれ。彼女たちはやり直せる。救ってはやれないか。」

 「ディートハルト何を言っているんです。彼女たちも王族なんですよ。」「どうじゃ。お前様の奴隷にするのはどうじゃ。」

 「僕はいらないよ。」「我は、お前様が嫌がる女を犯すところを見てみたい。」

 「そんなの見る必要ないよ。」「我は学びたいのじゃ。お前様を喜ばせなくてはならんからのう。」

 「そうだ、オーガにアリソンを与えよう。」「お前様も酷いことを思いつくな。人間の女がオグルの嫁か。」

 「ロック、俺様に女をくれるのか。」「王女様だよ。」

 「感謝するぞ。」

オーガはよほどうれしかったのか、うきうきしている。

 「では、次女のセリアはどうしましょう。」「ドレスを着せて宝石の飾りをつけて街に放逐したらどうですか。」

ディルクが案を出す。ディートハルトが怒りに震えて声を荒げる。

 「そんなことしたら人々に殺されるぞ。」「人々にも復讐する権利はあると思います。」

 「そうだが・・・まだ15だぞ。」「街の娘は15歳ころになった時には兵に見つからないようにしていますよ。言わなくても理由分かりますよね。」

 「勝手にしろ。」「2人の娘の処遇はこれでいいですね。」

ディートハルトは明らかにいら立っている。ヨーゼフがディートハルトの肩を叩いて首を振る。ディートハルトもここまでしないと収まらないことは理解している。しかし、心が許していない。

 ディルクは会議の内容を街の役持ちたちに伝えることになる。そして、フールに広報大臣に任命されてしまう。


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