第20話 アデリナの恋
ゴブリンの襲撃で生き残った兵は13人だけだった。さらに勇者パーティーの行方は分からなくなっている。13人はゴブリンの襲撃におびえながら馬車を飛ばして王都へ逃げる。
その頃、ディートハルトたちは、ロックたちと食堂で朝食を食べている。ディートハルトはロックに言う。
「ホブゴブリンやオグルと一緒に食事なんて不思議だな。」「みんなで食事をするのがルールみたいになっているんだ。四天王を紹介するよ。」
魔法使いのような男が挨拶をする。
「炎神パイロウスです。魔法全般が得意です。」
色白の美女が挨拶する。
「水神エスリムよ。水を操ることが得意なの。」
色黒筋肉質の男が挨拶をする。
「土の王グラムです。明日からディートハルトさんとヨーゼフさんの基礎体力訓練をしますから、よろしく。」「基礎体力訓練ですか。」
「そうです。昨日フールに一撃を入れて力の無さを体感したでしょ。2人はすぐに強くなれますよ。わはははーー」
「ロックも基礎体力訓練をして強くなりましたから大丈夫ですよ。アデリナさんはパイロウスが教えます。ティアナさんは私とヒールを頑張りましょう。」
フールがにこやかに言う。一方、パイロウスは黙々と食事をしていて陰気な感じがする。アデリナはフールに教えてもらいたかったが黙っておくことにする。
ディートハルトたちは今日1日ロックの訓練を見学することにする。午前中、ロックは泉でエスリムと訓練をする。300キロの甲冑を着て走り回り、エスリムの水の斬撃をかわしていく。
ディートハルトたちは早すぎて姿を追うのが精いっぱいである。それなのに300キロの甲冑を着ている。ディートハルトとヨーゼフなら1歩も動けないだろう。
ロックが斬撃を食らう。水の斬撃は甲冑を易々と切り裂いている。フールが切り落とされた右腕をヒールして元に戻す。甲冑は右腕のパーツを取り換える。
ディートハルトたちは、これを見て思う。
「こんなことやっていたら。タダツグの攻撃が通用するわけないよなー」
ロックは今度は水の斬撃をかいくぐりエスリムの胸にタッチする、するとロックは右手の甲冑を外してエスリムの胸を揉む。ティアナとアデリナはショックを受ける。
あの奥手で純情なロックはどこに行ったの。こんなのロックじゃない。
「ロック、あなた何、エスリムさんの胸を揉んでいるの。」「これはご褒美だよ。」
「ご褒美?」「そう、ご褒美。訓練をクリヤしたら揉ませてくれるんだ。」
「いやー、ロック戻ってきてー」
ティアナは叫び、泣き出す。アデリナがロックに言う。
「ロックあなたのせいよ。」「ごめん。これ訓練だから。」
ここで午前の訓練は終わりになる。ディートハルトとヨーゼフはロックに言う。
「どうやったらあんな動きが出来るんだ。」「基礎訓練で走り込んで自由に動けるようになったらエスリムに訓練してもらったてできるようになったよ。」
「そうすれば揉めるんだな。」「あなたたちもエッチなことするつもり。」
「今のはヨーゼフが言ったんだぞ。」「ディートハルトも同罪よ。」
アデリナは2人にエッチ判定を下す。昼になり彼らは食堂で昼食を食べる。アデリナはリースに言う。
「ロックがエスリムの胸を揉んでいたけどいいの。」「我は良いと思うぞ。」
「嫉妬しないの。」「女性経験を積んでくれれば女性の扱いがうまくなる。そうすれば、我を優しく扱ってくれる。じゃろ。」
「リースが良いなら・・・」「アデリナ、そちは男性経験が豊富そうじゃ。ぜひ鍛えてやってはくれないか。」
「私は処女です。」「では、仕方ないか。」
リースを除いてみんなが黙り込む。アデリナが真っ赤になって言う。
「みんな黙らないでよ。ティアナだって処女でしょ。」
ティアナは思いっきり顔をそむける。
「ティアナの裏切り者~」「お気に入りの男性がいたら私がセッティングしますから機嫌を直してください。」
フールがフォローする。するとアデリナはフールに熱い視線を送る。フールの顔から汗が噴き出す。ティアナがアデリナに言う。
「もしかして、フールさんがいいの?」「うん。」
アデリナはうつむき加減で上目遣いでフールを見る。リースがだめ押しをする。
「フール、言い出したのはそちじゃ。責任を取るのだぞ。」「分かりました。アデリナさんの完璧な彼氏になって見せます。」
グラムが笑いだす。
「わはははーーー、うーっ腹いてー、世界中で何百人の女が泣くんだ。」「フールさん、もてるのね。」
アデリナが乙女チックになって言う。ロック、ディートハルト、ヨーゼフが寒気を覚える。
午後の訓練が始まる。ロックはリースを相手に打ち込みの訓練をする。ディートハルトはリースを見て驚く、自然体だが打ち込む隙が無いのだ。見ただけで自分よりはるか高みにいることが判る。
フールがディートハルトたちに説明する。もちろんアデリナと手をつないでいる。
「リース様は剣姫の異名を持つ剣の達人です。私はリース様より強い方を知りません。」
ディートハルトがロックとリースに集中しているとヨーゼフが言う。
「ゴブリンの中で人間が試合稽古をしているぞ。」「なに、強いのか。」
「ああ、俺よりも確実に強いな。」「本当だ。ゴブリンに勝っているぞ。」
「彼は中西です。召喚されたのですが森に捨てられたそうです。」「あんなに強いのにか。」
「彼の原動力は復讐心です。」「復讐ですか。」
「はい、ゴミのように捨てた王家を恨んでいるのです。」「そうか、オルドビスの森の中で生き残ったのだな。」
「あそこまで強くなるのか。」
ディートハルトとヨーゼフは、バシュラール王国は崩壊すると感じる。今のバシュラール王国に中西に対抗できるものなどいないだろう。王家は自ら最強の敵を作りだしてしまった。
13人の兵は城に無事たどり着く。ゾフィー女王は兵たちの疲れ果てた状態を見て尋ねる。
「戻ってきたのは、そちたちだけか。ほかの者はどうした。」「ゴブリンの奇襲を受けてみんな死にました。」
「勇者はどうした。ディートハルトもいたであろう。」「分かりません。あの状態では生きているとは・・・」
「ゴブリンごときに何というざまじゃ。」「相手はホブゴブリンです。それも剣と鎧で武装して、恐ろしく腕が立ちます。」
「バカを申せ。お前たちは訓練兵からやり直しじゃ。」「我々の言葉が信じられないのですか。」
ゾフィー女王は兵たちの言葉を無視して立ち去る。兵たちはやっていられないと城を出ていく。
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