第17話 ゾフィー女王の命令
ロックたちのログハウスでは、新たに仲間になったオーガのために小屋が建てられる。今、小人たちは新たに全員が入れるように食堂を建築中である。
食事はみんな揃って食べることが習慣になっている。オーガは基礎体力訓練で600キロの甲冑を着ている。彼は試合訓練を望んでいたが、グラムが許さなかった。
バシュラール王国では、勇者タダツグの魔法訓練が終わり、剣に魔法を乗せて攻撃ができるようになっていた。ゾフィー女王は、勇者パーティーに1000の兵を加える。
兵の指揮はディートハルトがすることになる。ゾフィー女王は勇者パーティーに命じる。
「オルドビスの森へ赴いて、魔王アンネリースと勇者ロックの首を持ち帰ってくるのです。」「はっ。必ず首を持ち帰ります。」
勇者パーティーは、オルドビスの森の入り口に拠点を設営する。ディートハルトは、兵5人1組の索敵班を20作って、オルドビスの森の探索を行う。
索敵班は自分たちが通った所を分かるようにするため白い布を木の枝に結んで目印をつけていく。
索敵班はソードボアやブラックスネークに遭遇するがディートハルトに鍛えられているので5人で何とか退治しながら進んで行く。
第1陣の索敵班は2時間したら帰路につくように指示されていた。2時間が経ち、索敵班は戻り始める。しかし、白い布の目印が見つからない。索敵班は焦って森の中をさまよう。
目印の白い布はフールの使い魔の小人たちに回収されていた。フールは白い布を受け取るとロックとリースに報告する。
「婿殿、リース様、バシュラール王国の兵が森の中を索敵し始めました。」「目的は、僕とリースだね。」
「我々で殲滅しましょうか。」「待ってください。彼らは仲間でしたし、リースのことも理解を示してくれました。」
「ならば、兵たちは、ゴブリン隊とオーガに任せましょう。ほかの者は婿殿が説得してください。」「分かりました。」
フールはゴブリン隊をヤコブ隊長の隊と中西副隊長の隊に分ける。中西は復讐の機会が訪れたと力が入る。オーガには新しい防具を与えて遊撃隊長として出会った兵の皆殺しを命じる。
索敵班はストーンスネークに遭遇してしまう。ストーンスネークには剣が通用しない。1人が捕まり、4人はわれ先に逃げ出す。4人は中西に出会う。
「助けてくれ、仲間がストーンスネークに襲われているんだ。」「助けろだとお前たちは俺をこの森に追放しただろう。」
「生きていたのか。助けてくれたら森から出られるようにする。どうだ。」「今度はお前たちが死を味わう番だ。やれ。」
茂みからゴブリンたちが出てくる。ゴブリンは皆鎧を着て剣を持っている。
「ゴブリンが武装しているぞ。お前、ゴブリンと手を組んだのか。」「さあな。死んでいくやつが知る必要はない。」
ゴブリンが兵に襲い掛かる。兵たちは抜刀して抵抗するが相手はただのゴブリンではない、ホブゴブリンで戦闘訓練を積んだ者たちである。兵は力で負け、剣技でも負けて惨殺されていく。
兵たちは1分ももたなかった。中西は次の得物を探しに行く。ヤコブ隊長は兵たちが近づいて来ることに気づき、木の影や茂みに隠れる。兵5人が愚痴を言いながらやって来る。
ヤコブ隊長が木の影から姿を現す。兵たちは驚いて言う。
「ゴブリンだ。」「いやでかいぞ。」「なんで鎧を着ているんだ。」
ヤコブ隊長は無言で右手を上げてから降ろす。すると兵たちの周囲からゴブリンたちが飛び出し襲い掛かってくる。兵たちはディートハルトの訓練を受けていたが歯が立たない。
ゴブリンの斬撃を剣で受けるが重くて耐えられない、兵は押されてのけぞる。ゴブリンは剣を引くとき兵の首を切る。兵は頸動脈を切られて血が噴き出し倒れる。
ある兵は剣でゴブリンに切りかかるが、ゴブリンに剣を持った手を掴まれて、腹を剣で串刺しにされる。
残りの3人はゴブリンに囲まれ、剣でメッタ刺しにされてしまう。ヤコブ隊長は次を探して移動する。
オーガは森の中を駆けまわる。600キロの甲冑を着ていないので体が軽い。不運な索敵班がオーガに遭遇する。
「オルグだ逃げろ。」「鎧を着ているぞ。」「ぐえ。」
オーガは1人目を踏み殺す。兵たちは盾を前に剣を腰だめに構えて突進する。オーガは先頭の兵を右腕で払いのける。兵は20メートルほど飛ばされ木の幹に激突する。
2人目の兵は左こぶしを振り下ろして叩き潰す。3人目と4人目はオーガの懐に入りオーガの腹に剣を突き立てる。しかし、オーガの防具は剣を通さない。
オーガは2人の頭を掴むと振り回して無造作に投げ捨てる。オーガは愚痴る。
「人間弱すぎ、つまらない。強い奴いないのか。」
オーガは再び森の中を走り始める。
ディートハルトは4時間以上経っても索敵班が戻ってこないことに苛立ちを感じる。ヨーゼフがディートハルトに言う。
「ここは、オルドビスの森だ。思うようにはいかないぞ。」「分かっているが20組の索敵班を出しているんだぞ。」
「わしらだって入ったら生きて出て来られる保証はないぞ。」「もう少し待ちましょう。」
結局、日が暮れても索敵班は1組も帰って来なかった。
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