【クズモブ転生】全年齢恋愛ゲームでバグスキル『エロ同人』に目覚めた俺は激カワヒロイン達とやりたい放題エロゲーしようと思います~主人公がクズ過ぎるので奪ってもいいだろ?

かくろう

前世やり込んだゲームに転生したっぽい

第1話◇目覚めたらゲームの中◇

 タイトル通りだ。目が覚めたらゲームの世界にいた。


 何故? どうして? どうやって? 全部分からん。


 ただ一つハッキリしてる事は、俺が"とあるゲームのキャラ"に転生したという事実。


 転生と言い切るのも、俺の最後の記憶が通り魔に刺されて意識を失った所、だからだ。


 恐らく俺は死んだのだろう。そしてどういう訳か俺が生前にプレイしていたゲーム【花咲く季節と桜色の乙女】――通称【さくさく】の世界に生まれ変わってしまった。


 しかもよりにもよって……。


「なんでコイツなんだよ……」


 そう、俺が転生したのは主人公でも、その周りによく登場するサブキャラである男友達でもなく、ましてやヒロインでもなく、エンディング付近で唐突に登場するモブキャラ。


 名前は【霧島きりしま 亮二りょうじ


 鏡の前に立って映っている自分の姿の髪は金髪。体は身長190前後はあろうかというムキムキのゴリマッチョ。ヒゲ、耳に空いたピアス穴、そして色黒。


 ここまで言えば分かるだろう。


 そう、業界用語で言うところの『チャラ男』だ。いや、昨今はわりかし普遍的な言葉になりつつあるのか……。


 それはともかく、俺はこの超絶不穏な人物に何故か転生し、人生の再スタートを切ることになってしまったのである。


 唯一の救いは、ゲーム内ではおびただしい量のタトゥーが彫られていた腕から胸板にかけての肌が真っさらだった事か。


 モブキャラなのになんで名前があるのか、という疑問が湧いてくるだろうが、それはこの男がゲームのエンディングにおいて重要なポジションを担っているからだ。


 実はゲーム内では名前が明かされることはなく、霧島きりしま亮二りょうじという名前は設定資料集に掲載された項目に記載されているのみ。


 多くは語られないが、逆にそれがこの人物の不穏さを強調していると言って良い。


 こいつが登場するのは、ルートに入らなかったヒロインのバッドエンディングの一コマだ。


 もちろんバッドエンディングにも色々な種類がある。

 事故で入院して学園に来なくなったり、病気が悪化してそのまま……直接描写はされないものの、明らかにヒロインは死亡扱いになっているものまである。


 そしてそれ以降、バッドエンドヒロインは物語から退場する。

 存在自体が不穏そのもの。

 言っておくが「さくさく」は全年齢向け恋愛シミュレーションだ。

 よくあるエロゲではないので、当然ヒロイン達がそいつにあれこれされるなんてシーンは描写されない。


 だが、何かを匂わせている。そんな描写だけして終わるという一コマに登場する人物だから、数ある恋愛ゲームでもかなり異質の存在だ。


 こんな奴に転生なんて洒落になっていないぞ。


「いや待て……むしろ好都合かもしれん」


 俺はとりあえず厳つい印象を与えるアゴヒゲをジョリジョリ剃りながら頭を巡らせる。


 不思議と頭の中は冷静だった。戸惑いはしたが混乱はしていない。

 頭の中は非常にクリアで、やるべきことが即座に決断できた。


 俺はこのゲームのヒロイン達が大好きだ。

 しかし、それと相反するように――いや、だからこそ、俺はこのゲームの主人公が大嫌いなのだ。


 優柔不断でコウモリのような男、といえば分かりやすいだろうか。

 どれだけフラグを立てていてもルート以外のヒロインに対する扱いが酷すぎるのだ。


 あっちへフラフラこっちへフラフラ。一件何の変哲もない主人公らしい言動をしながら、考えているのは自己保全ばかり。


 だから、主人公にヒロイン達を任せておけない。放置すると確実にルート以外のヒロインが最低一人はバッドエンドを迎えるという鬼畜脚本なのだ。


 不可抗力なら『可哀想だった』で済むだろう。俺もそこまで躍起になったりしない。


 しかし、このゲームの主人公のヒロインに対する扱いのひどさはファンの間では有名だ。


 何しろどれだけフラグを立てていようとも、、一度他ヒロインのルートに入ってしまうと残りのヒロインは最低一人バッドエンドになる。


 しかもそれを「知ったこっちゃねぇや」の一言で全部なかったことにして、ルートに入ったヒロインとのイチャイチャを全力で楽しむ。


 発言の一つ一つがかんに障るのだ。こんな奴がどうしてヒロイン達にモテるのか全く分からん。


 ゲームを普通にやっているだけでは気が付きにくいが、彼の利己主義な一面はシナリオのそこかしこに隠れている。


 プレイヤーとしてゲーム画面を見ているだけでは気が付きにくい闇の部分だ。


 だから俺の大好きな『さくさく』のヒロイン誰一人主人公には任せておけない。


「だったらヒロインは全員俺が頂くッ」


 主人公視点では、俺がもっとも忌み嫌うジャンルである『寝取られ』、あるいは『B僕が、S先に、S好きだったのに』になってしまうが、あんな奴にヒロインを任せて他の誰かがバッドエンドになる未来だけは避けたい。



 だとしたら全員俺のものにして、ゲームには存在しないハーレムルートを俺が構築してやればいい。


 そして、俺にはそれができる。


 何故? それは……。



 それは転生と同時に手に入れていた、不思議な能力が俺の中に存在するのが分かるからだ。


 この超能力『エロ同人』によって。


 ネーミングセンスが絶望的に終わっているが、この能力でできることは頭の中に浮かび上がり、不思議な能力が自由に行使できることが手に取るように分かる。


「あのうるせぇ声はまだ聞こえないか」


 実は転生したと自覚したのは、頭のなかで凄まじく甲高い女の声が聞こえたからだ。


 まあいい。そのうち出てくるだろう。


 これがあれば全年齢恋愛シミュレーションではできなかったR18行為がやりたい放題だ。


 よーしやってやる。鬼畜外道と呼ばれようと、ヒロイン達を幸せにできるのはきっと俺しかいない。


――――



全53話構成。最終話まで作成済み 毎日更新します

ご感想、レビュー、応援お待ちしております。


ご好評であれば第2部の作成を検討します。


人物紹介

・霧島亮二(本人)→ゲーム本編ではモブ。本作主人公転生に際して死亡。以降出番無し

・霧島亮二(転生者)→さくさくをこよなく愛する元日本人。ゲーム主人公が嫌いなのでエロスキル全開で奪おうとする。

この思考からも分かる通り、悪人ではないが、まともな人間でもない。

常識人のフリをしても、倫理観はちゃんとぶっ壊れている。

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