第6話

「真緒~、今日の夜ごはん、何、する?」


『夜ごはん?レポートは?』


「もう書いたよ。」


「ちょ、ちょ・・と見せて!!!!」



岐阜から通えない距離にあるこの実習病院での実習。

病院の寮の1部屋を絵里奈と一緒にシェアして寝泊まりすることになったあたし達は帰宅後、レポートを書いていた。



『日本語だらけ・・・っていうか、日本語しか書いてないじゃん!!!』


「なんで?あたし達、日本人じゃん。」



絵里奈が書きあげたらしいレポートを見せてもらったあたしは

怒りがこみあげる


絵里奈は何も悪くないのに



『あたしなんて、筋肉の名前、日本語で書いたら怒られるんだよ!!!』


「えっ、松浦先生、そんなこと一言も言ってなかったよ~」


『嘘だ~。』


「ホントだよ。じゃあ、絵里奈がかわいそうな真緒に夜ごはん作ってあげる~。パスタ・・ナポリタンでいい?」


『松浦先生・・・いいな~。仏様だよ~。般若、容赦ないし。』


「般若?それ岡崎先生?ウケる~。かわいそうな真緒には目玉焼きも載せてあげるね!」



初日から腐りかけていたあたしに絵里奈はケタケタと笑いながら目玉焼き付きナポリタンをご馳走してくれた。


その後、気持ちよさそうにベッドで眠っている絵里奈を横目に、あたしは、見慣れない医学用語辞典と格闘していた。



実習初日。


絵里奈とあたし

仏と般若

天国と地獄?!


こうやってあたし達の臨床実習が始まった。

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