第20話

ついさっきは、命を粗末にしようとした彼女に対して怒りを覚えたのに






この時の俺は






彼女をここまで追い込んでしまった一因であるかもしれない胎児の父親


そして


こんなにも追い込まれてしまうまで彼女を見つけ出してやれなかった自分自身の怠慢さに



激しい怒りを覚えた。






でも、このまま立ち止まったままいるわけにはいかない



『とにかく、病院に着いたらすぐに超音波検査をするから、病院に着くまでは少し眠って休むんだ。』





今からなんだ



彼女を守るのは自分だ






それが俺にとってかけがえのない人達から与えられた使命




そうに違いないから・・・・













再び目を閉じた彼女をじっと見守りながら到着した病院の救急出入り口で迎えてくれたのは



「・・・・ナオフミくん?!」




産婦人科病棟の看護師長、福本さんだった。

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