第19話 2人と2人

「グリヴァン....。まさか、お前が死ぬとはな....」

村の墓地に造られた。グリヴァンの墓標にカリサは話しかけていた。

「私たちは冒険者... 死は常に隣にいる。でも、こうなることを恐れてた....。」

カリサは優しく笑いながら話した。

「あなたには死んで欲しくはなかった。」

カリサは墓標から少し離れて、空を仰いだ。

「カリサさん、ごめんなさい」

オリスが彼女に声をかける。

「僕をかばって、グリヴァンさんは...」

カリサは悲しそうに微笑む。

「冒険者とはこういうものよ。」

「でも...」

「私は大丈夫よ。」

カリサが笑う。そして背を向けて言う。

「すまない。しばらく1人にしてくれないか」

オリスは何も言えずにその場を去るしかできなかった。

数日後、オリスとユリアはミデスへの帰路についた.....。


ミデスの宿屋に着くと、しばらく2人は沈黙していた.....。

「ねぇ、オリス...」

「なに?」

「私さ.... あなたが.....」

ユリアは何か意を決したかのようにオリスに言った。

「うぅん....。私と一緒に逃げてくれて嬉しかった.... 私ね... 孤独だったの...」

オリスは黙って話を聞いている

「両親も... 兄弟もみんな死んだ... 私には誰も残らなかった.....。盗賊団にいる時にも心は1人だった。あなたといる時以外は....。」

ユリアは涙を流す。

「私もあなたを守りたいの.... だから、私も戦うわ。.....だから、死なないで。」

オリスは黙ってユリアを見つめた。

ユリアは顔を赤らめる。

オリスはそっとユリアを抱き寄せる。

2人は抱き合ったまま、そのまま眠りについた.....

2週間後、2人はラシャから呼び出しを受けた。

ラシャの元に2人が行くと、そこにはカリサがいた

2人の姿を見て彼女は笑顔になる

「カリサさん」

オリスが話しかける

「久しぶりだね」

彼女はそう言って優しく笑う

「あの..... グリヴァンさんは.....」

オリスが恐る恐る聞くと

「もう大丈夫だ...。私は大丈夫」

カリサがそう言う。カリサは安心させるように笑った。

「さて... 今日もお2人の力をお借りしたいと思います。」

ラシャが2人を呼び出した理由を話し始める

「実は先日、ギルドの怪獣の調査隊と、隣国の軍隊が森で遭遇したことがあります〜。どうやら、ザイレムの家の人間が再びこの森まで調査をしにきているようです〜。そして、街の付近まで調査隊が侵入してくるようです〜。」

「ザイレム...」

ユリアが一歩前に出る

「はい〜、ユリアさんは何かご存知ですか〜?」

ラシャは不思議そうに尋ねた

「いえ....」

ユリアはその問いかけに答える

「そうですか〜。 とにかく、ギルドとしても、ザイレム家の不穏な動きは放っておけないでしょう〜。そこで、お2人の力を貸してほしいのです〜。 お願いします〜。」

「分かった」

オリスが答える

「もちろんよ!」

ユリアも答える

「ありがとうございます〜。 では今回は私も一緒に向かいますね〜。カリサさんも同行いただけます〜」

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