第7話 霧の試練
エリオットが足を踏み入れたのは、深い霧に包まれた不気味な空間だった。視界は極めて悪く、数メートル先ですら見えないほど濃い霧が立ち込めている。「ここは…どんな試練なんだ?」彼は心の中で呟き、不安を抱えつつ、慎重に一歩を踏み出した。
ふと、霧の向こうから金属音が響いてきた。鋭く冷たい音に、彼の全身が緊張で硬直する。「また敵か…?」彼が身構えたその時、懐から「All in One」が淡い光を放ち始めた。
「…何だ?」不思議に思いながら本を開くと、ページの隙間から短剣が浮かび上がるように現れ、エリオットの手元に収まった。短剣は精巧な装飾が施されており、刃には微かに光が宿っているようだった。「武器…ってことか?」
彼が不思議そうに短剣を見つめていると、突然、霧の中から巨大な影が迫ってきた。鋭い爪を持つ怪物が、エリオット目掛けて突進してくる。「くそ、いきなりかよ!」彼は反射的に短剣を構え、怪物の攻撃をかわしながら、応戦のタイミングを伺う。
怪物が再び襲いかかってくる瞬間、エリオットは勇気を振り絞って短剣を振りかざした。刃が怪物の腕に触れると、驚くほど軽やかに切り裂かれ、怪物は苦しげに後退する。「この短剣…ただの武器じゃない?」
エリオットは戦闘中にもかかわらず、その手にある短剣の力を感じ取った。自分が恐れていたのが嘘のように、武器が彼の動きに反応し、力を引き出してくれる。再び怪物が動き出した時、彼は短剣に身を任せるかのように、冷静に対処することができた。
霧の中での戦闘は続き、怪物が次々と新たな攻撃を繰り出してくる中、エリオットは短剣を使いこなし、次第に戦闘技術が磨かれていく。恐怖が少しずつ自信に変わり、彼の動きは次第に鋭さを増していった。
ついに、怪物が大きな叫び声と共に霧の中に崩れ落ちた。エリオットは深い息をつきながら、短剣を見つめる。「まさか、この短剣がこんなに…でも、なぜ?」
その時、彼の背後からアメリアが現れた。「どう?新しい武器の感触は?」と微笑むアメリアは、どこか誇らしげでもあり、不敵な笑みを浮かべていた。
「お前が…この短剣を?」エリオットが問い詰めるように聞くと、アメリアは首を振って、「この短剣はあなた自身が引き出したものよ。あなたの成長に応じて、この剣もまた姿を変えるでしょう」と説明した。
「成長する…武器?」エリオットは驚きと疑問が混じりながらも、アメリアの言葉を受け止めた。この迷宮にいる限り、彼はただの高校生ではなく、少しずつ何かに変わっていく自分を感じたのだった。
「あなたはこの迷宮でさらに成長するわ。さあ、次の層へ進みましょう。」アメリアの誘導に従い、エリオットは決意を新たに前進を始めるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます