楽園のアリーシア
@dandyitakeneko
第1話「楽園のアリーシア」
カランカラン
鈴の音が寝室に響き乳母の声が反響する。
「みんな〜朝よ起きなさい。」
乳母のカウラさんが声を上げる。すると、静まり返った大寝室が一気に賑やかになる。
「おはよ〜カウラさん」
子供たちが次々に挨拶をし、友達とお喋りを始める子も入れば歯を磨きに行く子。乳母に乳を飲ませてもらう赤子もいる。そして僕も目を覚ます。
「カウラさんおはよう」
「おはようシン悪いけどエリの面倒を見てくれないかしら?」
エリとは僕の9歳下の妹のようなものだ
「分かったよ」
僕はそう返事をしながら思考する。何故か少し慌てているように見えた。何故だろう?そんな疑問を抱きながら。俺はエリの歯磨きをしに行くのだった。
「なぁクリスタ」
俺は同い年の友達のクリスタに声をかけていた。
「何?シン君」
「いや、今朝のカウラさんの様子がおかしくてさ、何か知らないか?」
「うーん特に気になるようなことは無かったと思うんだけど...様子がおかしいって?」
「カウラさんは今までエリの面倒は絶対に自分でやっていたんだ。なのに今日は僕にエリの面倒を見させてきた。」
「忙しかったんじゃないの?」
「そうなんだよ、そこだ。」
「ど、どうゆうこと?」
クリスタが困惑の表情を浮かべていた。
「カウラさんは毎朝コーヒーを嗜む程度には時間に余裕があるんだ。でも、今朝はコーヒーすら持たずに電子機器をもってカウラさんの部屋に向かったんだ。」
「確かにカウラさんは毎朝コーヒーを飲んでいるけどたまたま飲まなかっただけじゃないの?」
「僕も最初はそう思ったんだ。でもさ気にならない?カウラさんは絶対に部屋に入るなって釘を指している...僕はあの部屋になにか秘密があるんじゃないかと睨んでいるんだ。」
「うーんならさ!!運動時間の時カウラさんは絶対外で皆と遊ぶじゃん?その隙に家に入ってカウラさんの部屋を覗いちゃおうよ!」
っとクリスタが言い終わった直後。
「誰の部屋を覗くんだ?」
クリスタと僕は肩を跳ねさせビクンとした後体を小さく縮こめながら恐る恐る後ろを振り返る。するとそこには同い年のローターがいた。
「もう!びっくりしたじゃんローター君!!」
クリスタはそう言って腕を組み頬をハムスターのように膨らます。
「わりぃわりぃw」
そう言ってローターは言葉を続ける
「でさ、一体誰の部屋を覗くんだ?」
クリスタは周りを確認した後小声で呟く
「カウラさんの部屋を覗いてみようよって話をしてたの」
クリスタがそう答えるとローターが驚きの発言をする。
「あーカウラさんの部屋な俺入ろうとしたことがあるんだよ」
「おいおい待てよ、入ったことあるのかよ」
僕がそう言葉を並べるとローターが困ったように言う。
「いや、中には入っていない。というよりかは、入れなかった。鍵がかかってるんだ。」
「鍵?どうしてただの一室に鍵なんて」
クリスタがそう呟くとローターは
「俺も前から怪しいと思ってたんだ。俺も覗くのには賛成だが、鍵を一体どう入手しようか、」
「それならさ、カウラさんがいつも腰に着けてる鍵が1つあるじゃん?アレで色んな部屋の鍵を開けてると思うんだけど、あれマスターキーじゃない?」
クリスタの名推理により僕達の今後の方針がきまったようだ。
「よし、なら俺が取ってきてやるよ!」
ローターがそう言って立ち上がる。
「でもどうやってとるんだ?」
僕がそうやって疑問を問いかける。
「まぁまぁ俺に任せとけって!!
決行は今日の運動時間の時だ。ドアの前に集合しておけよ?」
そう言ってローターは足早に去っていった。
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