魔法科学理論

0518taku

第1話〜こんな非科学的な!〜

 私は今、子供用のベッドで子供用の布団にくるまりながら混乱している。

 とりあえず状況をまとめよう。


 #####


「はぁ〜。仕事だるいわ〜。」

 私の名前はいわひかる

 23歳という結構若い人だ。

 若い人は自らそんなこと言わないって?

 だまらっしゃい。

 科学者…なんだけど、物質を合成したり、爆発…はまぁしないとして、そんなことをするわけではない。

 子供の頃夢見た科学者を諦めきれずにやる仕事がこれとは。

 私ながら呆れたものよ。

 閑話休題そんなことはともかく

「うおぉ、さみぃ」

 早く帰らないと寒さで死んでしまう。

 そう、私は体が弱かった。

 それもとてもがつくほど弱かった。

 本当に変温動物なのかもしれないと真剣に考えたこともある。

 寒さに震えながら橋を渡っていると、

「あっ」

 転んでしまった。

 それだけならよかったのだが、

『バギィ』

 と手すりが折れた。

 いやおかしいだろ!

 転んだ衝撃で折れる手すりとかないだろ!

 そんなことを考えていると、水面があと少しで迫っていた。

 そんな時も私は冷静だった。

 あーあ。私こんなので死ぬんだ。

 すごい勢いで水面にぶつかると、衝撃は全く吸収せず私の命を刈り取った。

 …と思う。


 #####


 …で、気がついたらここというわけ。

 とりあえずどこなのここは。

 布団から少し顔を出して周囲を確認する。

 このベットは多分木製だ。

 そして…なぜか蝋燭がある。

 結構田舎なのだろうか?(偏見)

 細かいことそんなことより私の体ね。

 手を出してみる。

 …

 ……

 なんだこのちっちゃくてかわいい手は!

 まるで赤ちゃん…とまではいかないけど、幼児くらいのやつじゃないか。

 にしても、目が良くなったなぁ。

 手相がよく見える。

 死ぬ(想定)前はこんな細かく見えても頭がすごい疲れるだけだと思うんだけど。

 そんなこと考えてたら色々思い出してきたぞ?

 私の名前は…イルマ=アズベル…多分…

 どうやら8歳らしい。

 それで、いっつもぼーっとしてて気力がないような子供だった…はず。

 そこらへんに無関心なのか全然覚えてないわね。

 もうちょっと世界に関心を持ってくれよ!!

 あ、私はこの子の意識を乗っ取ったってわけではなくて、意識が統合されてるような?そんな不思議な感覚。

 だから何にも無関心なこの子…いえ、私の気持ちもわかるけど…わかるけど!

 私はこの世界(推測)初めてだから!

 私より無知なの!

 …

 私が私より無知ってなんかわかりにくいわね。

 それはそうと、過去は変えられないんだし、今から色々と知ることにしよう。

 さて、これからどうしようかなー。

 …

 考えてても何も始まらないので行動してみようと思う。

 とりあえず、立ってみる。

 …

 成功。

 視点がすごく低い。

 身長1メートルないかもしれない。

 次、歩いてみる。

 一歩踏み出そうとすると…

「おぉっと」

 ちょっと転びそうになった。

 死ぬ(仮定)前の感覚で歩いちゃだめだな。

 あと声めっちゃ可愛い!

 何というか…幼女ならではというか…

 ん?あぁ、はいはい。どうせ私は変態ですよ。

 いつも冷静沈着なのにいきなり興奮したりしますよ。

 だけど致し方ないじゃないか!

 可愛いは正義だ!

 ちょっと先に本棚が見えたのでそこに向かおうと思う。


 とてとて、とてとて。


 そんな音を立てながらゆっくり歩いて行く。

 近くにあるように見えるけど、だいぶ遠いな。

 そんなこと考えていると『ガチャ』と音がして『ギィィ』って音もした。

 やばい!

 やばいやばい!!

 親帰ってきた!

 どうしよう…

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