第45話 エピローグ



 夏休みは終わり登校初日を迎える。


 毎年長期休暇が終わる頃には憂鬱な気持ちになりながら学校に向かうのだが、今日は意気揚々と登校している。


 それもそのはず、俺の隣にはガールフレンドになった霧島玲奈がいるからだ!


 もう彼女いない歴=年齢とは言わせないぞ!


 空を仰ぎ見る。

 直射日光に晒され、目を開けるのが困難になりながらも、昂った気分の高揚感は抑えきれそうにないのだ。


「隼人くん、今にも天に昇りそうな顔してどうしたの?」


 隣を歩く玲奈がボヤく。

 しかし俺は上の空で感慨に耽っているのだ。


「俺はなんて幸せ者なんだろう、もう思い残すことは、ない……!」

「ええっ、何言ってるの隼人くん。まだまだ触ってくれないと困っちゃうんだけどなぁ」


 ……玲奈の触られたい発言を聞いてやっと正気に戻った。


「そっち?!」

「ふふっ、もちろんそれもあるけど、これから先いっぱい思い出作っていきたいじゃん?」

「確かに、こんなところで天に昇るわけにはいかないよな!」

「うんうん♪」


 学校への道を歩きながら隣を歩く玲奈へと徐々に近づいていき、自分から手を握りにいった。


「わわ、ビックリしたぁ」


 相変わらずいきなり触るとビクッとした反応を示すもんだから、ウブな感じがして可愛いのだ。


「手繋いでると触られてる感じするだろ?」

「う、うん。隼人くんから寄り添ってくれるのって珍しいよね」

「そりゃいままでは遠慮してたけど、今は堂々と出来るからな!」

「席も隣だからいつでも一緒だね♪」

「学校でのお触りはこれが限界だぞ!」

「分かってるよぉ。学校終わったら隼人くんの家で触ってもらうから……!!」

「お、おぅ!」


 ……どうやら我慢できないらしい。

 玲奈の欲求は止まることを知らない。

 それは彼氏となった今でも変わることはないのである。

 

 ああ、そうさ。

 俺の彼女は変態だ。

 隠れ変態だ。

 そしてアイドル顔負けのとんでもない美少女なのだ。


 ……そんな表向きとのギャップが堪らないのだからな!


「楽しみだね♪」

「うんうん、早く学校終わらないかな!!」

「もぉ、せっかちなの治ってない♪」


 もう顔が、その……女の表情でエロい!


 ……本日をもって魔法使いの称号は剥奪される可能性が高い。

 大人の階段を猛スピードで駆け上がれそうだ。




 ◆




 恋人繋ぎをしながら、俺たちは学校の校門前まで到着した。


 前方には見慣れた二人の生徒の姿が……。


「「えっ!!??」」


 思わず玲奈と同時に声を上げてしまった。


「よっ、お二人さん熱いねぇ!」


 そう声をかけてきたのは雅也だ。

 で、その隣を歩いているのが千里である。


 ……どゆこと??


「お前たちも充分お熱く見えるが気のせいか?」

「ま、俺もようやく真の恋愛に辿り着いたのかもしれないってことだ!」

「つい最近まで別の女子と……」

「そんな浮気性の女、とっくの昔に別れたぜ」

「マジか……いや、ほんとおめでとう!」

「お互いな!」


 パーンとハイタッチする。

 それと同時にバシんと雅也の肩を叩く千里。


「ま〜さ〜や〜く〜ん。次のテストで赤点取ったらお仕置きだから、覚悟しなさいよね!」

「は、はい! 千里先生!」


 将来は教師確定だな。

 対する雅也は意外と尻に敷かれるタイプだったりするのかもしれない……と思った今日この頃。




 四人で話していると、今度は霞田奈々と霞田寧々の双子の姉妹が登場した。

 当然この二人は家族なのでカップルではないが、一緒に登校しているらしい。


「おっはー!」

「おはようございます!」

「ウチらは席近いから、もうお馴染みのメンツって感じだよね!」

「お姉ちゃん久しぶりの登校なのに、声大きいって、みんな見てるよ」


 テンションの高い姉と内気な妹。

 ちょっと変わった二人だが、今では大切な仲間である。


「色々とあったみたいだけどさ、これからも妹と仲良くしてやってよ!」

「その……程々によろしくです……!!」


 少し気まずそうにしている様子だ。

 でも大丈夫。

 霞田寧々の胸を揉んだという記憶は、流れるプールにでも流しておいたから。


「おっけ。何か悩みがあったら今まで通り聞いてやるからな。天童に嫌がらせされたらすぐに報告するんだぞ!」

「そうだよ寧々ちゃん。私たちが助けてあげるからね!」

「あ、ありがとうございます!」


 前よりも雰囲気が明るくなって喜ばしい限りだ。


「よーし、んじゃお祝いに、記念写真を全員で撮ろっか!!」


 霞田奈々の提案に皆が賛成した。

 入学式とか卒業式ではないが、俺たちにとっては大きな節目となる。


 ここからが俺たちのスタートライン、まさに青春って奴だ!


「スマホをセットしてっと」



『3』



『2』



『1』




 神谷隼人と霧島玲奈。

 俺たち二人はいつも通りにさり気なく————


————囁いた。









(これからもよろしくね♪)


(愛してる♪)





——————————————————————


 ここまで読んでくれた全ての読者の皆さん、本当にありがとうございました!

 ちょっとだけ非日常な恋愛物を書いてみましたが、難しかったけど楽しかったです!

 一旦完結としますが、気が向いたら続きを更新しようかなと思いますので、またよろしくお願いします!!


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

スカートの中身を俺に見られてしまった美少女の性癖が解放されてしまった〜毎日俺にだけ見せてくれるようになってデレてくるんだが〜 微風 @0wc2k

現在ギフトを贈ることはできません

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ