第6話 彼女からの連絡

 焼き鳥が買えなかった私が一人暮らしのアパートで、ヤオン姪浜店で買った「レンジでチンするだけで食べられる餃子」 をチンして、アサヒスーパードライのプルトップに指をかけた時、彼女から携帯に電話がかかってきた。


「今日は、黙って帰っちゃって、ごめんなさい。おじいちゃんとおばあちゃんに夕食を作らないといけなかったから」

 と彼女は謝った。私が、

「別に、謝らなくてもいいよ。いつもおじいちゃんとおばあちゃんの夕食を作っているの? たいへんだね」

 と言うと、

「いつもじゃないけど・・・今は、おばあちゃんが病気しているから。

 ところで、川畑さんは、『撮夫とるお』っていうの? 変わったお名前ね」

 

 彼女は、僕が病院で彼女に渡した名刺を見て、そう聞いてきたようだった。

「僕の実家は北九州の若松で写真館をしていてね。僕にカメラマンになってほしということで、僕の名前は、おじいちゃんがつけた名前なのだ」

 私がそう言うと、彼女は、

「ちゃんとカメラマンになれてよかったわね。おじいちゃんも喜んでいるでしょう」

 と言った。

 

 それから少し間をおいて、

「いつか会ってくれませ」

 二人は同時に、そう言っていた。

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