父にオナバレした話(2)

 20分後。父親が帰って来た。父親は何枚かの紙を手に握りながら戻ってくると、椅子に座り、スマホでXを巡回し始める。

何をやっているんだこいつは。

僕はそう思いながら父をチラッと見る。

父は真顔でスマホをいじっていた。もしかしたら、父は「息子

オナバレ」とか調べていたのかもしれない。


 それから20分後、父がようやく口を開いた。僕はこの男の口から何が出てくるのか。少し楽しみだった。


「シコる時はちゃんとイヤホン外してやれ。周りを気にしてやるんだ。」


正論だった。何も言い返せない。その時、父はスッと数枚の紙をテーブルの上に出した。

それは今までの僕のクラスの集合写真。中2、中3、高1。その全ての集合写真だ。なぜそれを父が持っているのか。

確か集合写真は全部僕が所有していたはず。確か注文してもいなかった。

つまり、父は個人で僕のクラスの集合写真を入手したことになる。

それに気づいた瞬間、目の前にいる僕の肉親は僕が考えているよりもやばいのかもしれない。そう思った。

それから父は一言。ニコニコした顔で、


「どの子が好み?」


これは修学旅行において、部屋でする下世話な会話?何度も経験したことはあるが、肉親とするのは初めてだ。

もしかしたら息子への精神的なダメージを減らすための行動だったのかもしれない。だが、それは息子に引かれるのに十分な理由であった。

僕はドン引きしながらこの子っすとクラスで一般的に可愛いと言われている子を指す。本当は童顔で身長の低い子が好みなのだが、この場において父にロリコンであることは明かしたくなかった。すると、父はニコニコしながら、


「まあ作者はそうだよなー、俺はこの子。」


父が刺したのはクラスで一番身長が低く、童顔の女子。

父はロリコンであった。

これが遺伝か。

遺伝子ってスゲェ……そういえば母さんの身長も低かったな。

嫌なことに気付きながらその地獄のような会話が終わるのを待った。

父はそのまま、僕に保健体育の授業を行い、集合写真達を握りしめ、去っていった。

これから部屋で使うのだろうか。嫌な妄想が頭をよぎり、すぐその思考を追いだす。嫌なことを知ってしまった。僕はそう考えながら自室へと戻り、トレーニングをした。

遺伝子って怖いね。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る