野垂れ死そうになっているホームレスを拾ったら、幕末の剣士だった

平木明日香

営業妨害です

第1話


 お店の戸締りをしている時だった。


 人通りが少ない日曜日の夜に、見知らぬ男の人が、壁にもたれかかるように座っていた。


 電灯のすぐそばだ。


 酔い潰れた人かな?


 そう思いながら、その時は気にも留めなかった。


 

 次の日、その、——次の日。


 同じようにその人は座っていた。


 俯いたままぴくりとも動かず、眠ったようにじっとしている。



 …さすがにおかしくない…?



 警察に電話しようと思った。


 具合が悪いにしてもさすがに…


 酔い潰れてるわけじゃなさそうだった。


 かと言って、近づいて良さそうな人でもなかった。


 まず格好がおかしかった。


 何かのイベントですか?って感じの袴姿に、竹刀か何かが肩に立てかけられている。


 ここがお店の近くじゃなければ放っておく。


 “触らぬ神に祟りなし”、ってやつ?


 …日本語合ってるっけ?


 まあ、なんでもいっか。

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