『先生』と『生徒』の現代ドラマ!

崔 梨遙(再)

1話完結:1300字

 京介が小学校の時、新任の先生が来た。京介が小学5年生、11歳の時にその先生は23歳。12歳の歳の差。先生は華があって目立っていた。担任になってほしかったが、その機会は無かった。京介はその先生に憧れたまま卒業した。その先生の名は鈴音。


 京介は二十歳になった。鈴音は32歳になっているはずだ。京介は、小学生の時にPTAで噂になっていたことを忘れていなかった。“鈴音は酒を飲むと乱れる!”


 そして、鈴音がまだ独身だという噂を聞いた。そこで京介は作戦を遂行することにした。まず、卒業アルバムに載っていた鈴音の自宅に電話をかけた。


「はい」

「鈴音先生ですか?」

「え! そうやけど、もしかして私の教え子?」

「先生が僕の担任になったことは無いんですけど」

「え! じゃあ、○○小学校の生徒?」

「はい、そうです」

「へえ、誰やろう?」

「小学生の時は先生の背が高く見えましたけど、先生、身長はどのくらいなんですか?」

「私? 155やで」

「あ、小柄だったんですね。小学生の時はわかりませんでした」

「君の身長はどのくらいなん?」

「僕は170です」

「大きくなったんやな」

「はい」

「君の年齢は?」

「二十歳の大学生です」

「そうかぁ、○○小学校かぁ、誰やろう?」

「僕、先生と会いたいんですけど」

「うん、ええよ。いつ会う?」

「ほな、金曜日の○○時に○○駅前でいいですか?」

「うん、ええよ。君の携帯番号を聞いてもいいかな?」

「はい。僕にも先生の携帯番号を教えてください」



 駅前。京介は鈴音を簡単に見つけた。8年経っても変わらない、鈴音はかわいい女性のままだった。


「鈴音先生!」

「あ、えと……君は誰?」

「○○小学校の速水京介です」

「あー! 速水君? 知ってる! おぼえてる! やんちゃだったよね?」

「良かった、おぼえていてくれて。ほな、食事に行きましょうか?」

「あ、うん。行こう。でも、速水君は本当に大きくなったね」



 京介のいきつけの店。明かりは全て蝋燭。薄暗くてムーディー。テーブルはカーテンで仕切られて2人きりの空間を楽しめる。京介は鈴音に酒を飲むようにすすめた。“鈴音は酒を飲むと乱れる”という噂、どこまで本当か知りたい。


 鈴音の目がトロンとしてきた。京介にもたれかける。やっぱり噂は本当だったんだ。鈴音はどんどん京介に密着してくる。


「速水君、なんで私を誘ったの?」

「先生は僕の憧れの女性だったんです。ずっと、二十歳になったら誘おうと思ってたんですよ」

「へえ、そうなんや」

「先生、今、恋人は?」

「いない」

「じゃあ、僕と付き合ってください」

「え! うーん、どうしようかなぁ」

「そろそろ出ましょうか?」


「あれ? 速水君、ここって」

「はい、店の裏はホテルなんですよ」


 京介は鈴音の手を握り、ホテルに入って行った。鈴音は抵抗しなかった。


 部屋に入るなり、鈴音は京介に抱きついた。唇と唇を合わせた。


「僕と付き合ってくれますか? 先生」

「ええよ、速水君」

「相手が先生って……」

「何?」

「萌えますね」

「アホ」



 京介と鈴音は結ばれた。京介は鈴音を“先生! 先生!”と言いながら鈴音を抱いた。京介は“先生!”と呼ぶことで萌えて、それを楽しんでいたのだった。







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『先生』と『生徒』の現代ドラマ! 崔 梨遙(再) @sairiyousai

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