第7話 マナと能力と特性と

「じゃあまずマナから。マナは生物の中に流れている気のようなもので、マナは魂に直結しているわ。

個々によってマナの総量は違うし訓練することで増やすこともできるわ。生物全てにあるわけではないけれど基本あると思ってくれていいわ。

そのマナを使うことで攻撃や防御ができるの。また、マナを使うことで使用者の特殊能力を使うことができるわ。

そしてマナは時間経過で回復するわ

マナを主体とした戦い方には【マナ技術】が存在するけれどそれは後で。訓練することで習得できるけれど個人差があるわ。」

と蒼は説明をする。

空は二人は静かにうなずきながら聞いている。

「次に、【能力】についてよ。

マナを消費することで使用できるもので能力がない人もいれば複数ある人もいるわ。

能力には強弱があって、

【操作】→【支配】→【掌握】の順に強くなっていくわ。これも訓練を重ねれば強くなっていくけれど個人差があるわ。

ちなみに私は【癒支配】を持っているわ。」

と蒼は言う。

「その、【癒支配】はどんな能力なんですか?」

空は尋ねる。

「私の【癒支配】は傷やマナを回復させることができるの。攻撃にも使えるけれど主に回復ね。」

と蒼は答えた。

「そして、【特性】。これはマナを消費せず条件を満たすことで自動発動するの。

これも能力と同じで、ある人もいればない人いるし複数ある人もいるわ。

私は【母性】を持っているわ。これは私の自然治癒力を高めてくれるわ。」

と蒼は説明する。

「なるほど、ありがとうございます。」

と空は言う。

(マナ……能力、特性か……)

「あの、その【能力】や【特性】って僕やイリアにもあるんですか?」

と空は尋ねる。

「そうね……今の状態ではわからないわ。まず、マナを認識するところからね。マナの認識には個人差があるけれど訓練すればできるわ。せっかくだしトレーニングルームでやってみましょうか。りっちゃんはここで待ってて頂戴。」

と蒼は言った。

蒼についていくままトレーニングルームに到着する。

「訓練は簡単だから2人にもできるわ。まずは目を瞑って。心臓に集中してみて?」

と蒼の指示に従い2人は目を閉じて集中する。

すると、蒼が2人の肩に手で触れる。

「今、私のマナを送ってるわ。その流れを感じてみて?」

空は目を閉じると心臓に何かが入ってくるような感覚を覚える。

「感じました。」

「私も」

「いいわね。それがマナよ。次は流すマナを減らしていくから自分に流れるマナに集中してみて。」

「はい。」

と2人は目を閉じ集中する。

すると、自分の心臓から流れる血流とは違う流れを感じる。

体を纏うように伝う感覚にこれがマナなのだと確信した。

目を開けても感覚が鮮明に残る。

それはイリアも同じで驚きと不思議を同時に感じているようだった。

「これが…」

と空は答える。

「2人とも筋がいいわね。次にマナ技術を教えていくはと言ってもとりあえずは基礎の〈霊豪〉からよ。」

と蒼は続ける。

「〈霊豪〉はマナで身体強化する技術よ。試しにマナを手に意識してみて。」

2人は手に意識を集中させると、体の中に流れるマナが手のひらに集まるのを感じる。

「そしてその手であのトレーニングマネキンを殴ってみて。」

と蒼が言う。

2人は言われたようにマナを纏った手でトレーニングマネキンを殴る。

すると、マナを纏った手で殴られたマネキンはバラバラに砕け散る。

「す……すごい!」

イリアは思わず声を上げる。

「これが〈霊豪〉よ。でもこれは〈霊豪〉の中でも基礎中の基礎なの。まずはこれがスムーズに使えるようになりましょうか。」

そして蒼によるマナ技術のトレーニングが始まった。

______

数時間後…

「よし、ここまでにしましょうか。」

蒼の号令で〈霊豪〉のトレーニングが終わる。

空はすごく汗だくになっていてイリアも顔を真っ赤にしている。

「2人ともセンスいいわね。〈霊豪〉の基礎は完璧よ。」

と蒼は言った。

「あ……ありがとうございます……」

空は今にも倒れそうな声で答える。

「すごい汗よ」

と蒼はタオルを差し出す。

空は受け取り顔を拭く。

(めちゃくちゃ疲れたぁ……)

と空は心の中で呟く。

「シャワーあるから使うといいわ。」

と蒼が言う。

「お言葉に甘えて。」

空は答える。

イリアも「ありがとうございます」と言って

シャワールームへ向かったのだった。

______

蒼が第三部隊の部屋に戻ると律那と猛が待っていた。

「おかえり~」

「戻ったか。その様子だと2人のトレーニングは終わったみたいだな。」

と猛が言う。

「はい、2人とも飲み込みが早くてとても優秀でした。〈霊豪〉の基礎が完璧にできていますしマナの認識も問題ありませんね。」

蒼は答える。

「空のマナの総量300万って私たちみたいな能力者の部類にしては低い方だよね。まあトレーニング次第で増えるし問題ないか。それよりもっ」

と律那はデスクに置いてある飴を取る。

「問題はイリアの方だ。なんだ最初からマナ量6000兆って。隊長でも鍛錬して23兆。そりゃ個人差はあるっつっても多すぎやしねぇか?」

と律那は飴を口に咥える。

「1000兆ある律に言われても説得力ないが…まあ扱いは上手いようだから暴走する心配もないだろう。何かしら理由でもあるのだろうきっと。」

と猛は腕を組みながら言う。

「まあ、そんなもんかねー」

律那は飴を口の中でコロコロさせながら答える。

「まあ、2人ともこれからが楽しみだな。」

と猛は笑った。

「そうですね。」

蒼は微笑みながら答えたのだった。

______

シャワーを浴びた空はイリアと共に第三部隊の部屋に戻る。

「戻りました。」

と空が言う。

すると、部屋の奥から律那が出てくる。

「おかえり~2人とも飴舐めるぅ~?」

と律那は2人に近づく。

「え、あ、どうもありがとうございます……」

「いただきます。」

2人は戸惑いながらも飴を貰う。

「さて、君たちの仮入隊の件なんだけど。」

と猛が話し始める。

「君たちの仮入隊は許可が降りた。解決した暁には報酬も出そうとのことだ。ただし俺たち第三部隊の管理下に置くものとする。要は俺の指示に従い行動してもらうってわけだ。」

と猛は説明する。

「わかりました。よろしくお願いします。」

と空は答えた。

「いいねぇ~お互い頑張っていこー。」

と律那は言った。

「これからよろしくお願いします。」

と蒼は言うのだった。

こうして、空はイリアとともに第三部隊仮入隊したのだった。

______

時間は戻り空が襲撃された後のこと。

視点は消えた獣人へと変わる。

踝まであるだろう鮮血に染まる水が広がる空間はその異様さを際立てる。

「ただいま戻りました。荒暫(こうざん)様」

焦げ茶色の体毛をした獣人はその場に片膝をつき首を垂れる。

「ご苦労。」

荒暫と呼ばれた獣人から重圧感のある声が返ってくる。

「悪目立ちするなとあれほど言ったというのに貴様と言う奴は」

荒暫は冷たく言い放つ。

「も……申し訳ございません。」

と獣人は怯えるように謝罪する。

「その上、目撃者のガキ一人殺せぬとは。髄狼様への侮辱か?」

と荒暫は睨む。

「お前の失態、死して詫びよ。」

と荒暫は言う。

「そ……それだけはご勘弁を!」

獣人は恐怖から叫ぶ。

「ならぬ、ここで死ねぃ」

荒暫が腕を振りかざすと同時に獣人の体に巨大な爪が振り下ろされるその時、

「や、奴を見つけました」

という声が響く。

「奴?間違いないのか」

「は…はい、あの莫大なマナは間違いありません。」

獣人は必死に答える。

「そうか、よくやった。今回だけは見逃してやろう。」

と荒暫は言う。

「あ、ありがとうございます。」

と獣人は感謝の言葉を述べる。

「行け、」

「は……はい!」

背が遠くなってゆく獣人は次の瞬間首が転げ落ち倒れこんだ。

「だと思うか?失態は失態だ。落とし前はつけないとな。」

と荒暫はニヤっと笑いながら言う。

「あれの言ったことが確かなら探させろ。今すぐにだ。」

「御意。」

といつの間にか佇んでいた獣人は答える。

「生きていたのか………リシアス。貴様を殺せば髄狼様の復活は目の前よ。」

と荒暫は高らかに笑った。

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