第12話 えると邪魔者
……やっぱりえるがいないと授業も楽しくない。なんにも頭に入ってこないし、えるに会えないストレスが溜まるだけだ。えるに全部教えてもらおう。
「える、勉強教えて。全部分かんない」
「えっ、それは大変……!じゃあ今日は勉強会しよう……!!」
「うん」
えると勉強会……二人で勉強、中学の時はよくやってたやつ。勉強するえるがかわいくてずーっと見てられる時間。春のせいで一瞬無くなったけど復活してよかった。久しぶりだから楽しみだ。
「澄乃」
「三浦くん、どうしたの?」
あいつがいつもより早く離れた隙に一か八かの賭けに出た。
「あー……さっきアイツと話してんの聞こえて、勉強会するって」
「うん。今日私の家でするよ」
「あー、俺も分かんないとこあんだけど……」
「それなら三浦くんも一緒にしよう?テスト勉強」
「……いいのか?」
「もちろん、いいよ」
ほんの少し生まれた隙に入りこんで、無理やり得た澄乃との時間に嬉しさを感じたのも束の間。曇りのない笑顔を向けられ自分のずるさを思い知らされた気がした。
「える〜私にも教えてー」
いつの間にか会話に入ってきていた澄乃の友達も加わり、放課後四人で帰ることになったものの。
「それで二人も一緒に来たんだよ」
「…………」
澄乃と帰ることになった俺達は、まずひと睨みされ、経緯を説明した後も睨まれ、澄乃の隣に行こうとすれば阻まれ、と……澄乃の家に到着するまで綴未に隠す気の無い敵意を向けられながら時間は過ぎていった。……もうちょい話せると思ってたけど……こいつ、ガキかよ。ずっとくっついて離れねーし……澄乃が優しすぎんのか、こいつがガキすぎるのか。どっちにしても、こんなのに負けたくねぇ。
……やっと着いた。けど、こいつらをえるの部屋に入れるとかありえないし許さない。
「える、部屋に四人は多い。リビングでしよ勉強」
「言われてみればそうだね。ありがとうさとみくん」
あ……えるの笑顔……かわいい……。この笑顔はオレだけが見ていいものなのに。─────コイツらなに?邪魔。せっかく二人きりの勉強会だったのに。
「二人は好きなところに座ってて。飲み物取ってくるね。なにか飲みたいものある?」
「あたしはなんでもー」
「俺も」
「うん、分かった。さとみくんはいつものでいいよね?」
「うん」
「じゃあ行ってくるね。あ、先に始めてていいよ」
あ……える…………行っちゃった……。やっぱり、二人きりがよかった。邪魔者が二人もいるとか聞いてない。
冷蔵庫の方へ向かうえるの背中をずっと見つめる。ほんの少しの間でもえるを見ていたくて。
「あのさ、綴未。ずっと思ってたんだけど……あたしらのこと睨みすぎだしえるのこと見すぎ─────」
横から邪魔な声が聞こえてきた。存在も声もなんでここにいるのか理解できない。
「なんであんたらいるの」
少しでもえると二人でいたいのに。邪魔しないで。
「そりゃ教えてもらうからだろ」
「一人ですれば」
「それはお前もだろ」
は?なにこいつ。えるといていいのはオレだけに決まってるのに。
「ちょっと、二人ともバチりすぎ。そんな顔えるに見られたらどーすんの?」
「「…………」」
えるに嫌われたくないし、これ以上はやめておこう。早くえるに会いたい。
「みんなお待たせ」
……える、戻ってきた。
「えるここ」
えるのために空けておいたオレの隣。座ってくれるよね、える。
「ん? うん」
オレの隣にえるが座った瞬間イラついてた心が落ち着いた。これでずっとえるを見てられる。
「あれ、まだ始めてなかったの?」
「えるに教えてもらいにきたんだから、えるがいないとでしょ」
「あっそっか、ごめんね待たせちゃって。それじゃあはじめよっか」
えるが隣にいる勉強会はどんな授業よりも集中できた。分からないところも全部頭に入ってきておかげで勉強してるえるをずっと見てられた。
今度は絶対邪魔者排除するから。二人きりでしよう、える。
……えるのベッドで寝たい。えると二人で一緒に。
──────える以外みんないなくなればいいのに。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます