もし一つ願いが叶うなら君はどうする?
うさのすけ。
第1話
"もし一つ願いが叶うなら君はどうする?"
子供の頃よく聞かれた質問だ。
僕は何も思い浮かばず、ただ首をかしげて周りの答えを聞くだけだった。
億万長者になりたい。
世界を救うヒーローになりたい。
恋人がほしい。
僕は聞くたびやはり首をかしげるだけだった。
何にも興味が湧かないからである。
人間として面白くない僕は、周りの目を気にしてびくびくしながら生きてきた。
滑稽な人生だ。笑えてしまう。
そんな僕の目の前にはありえないものがある。別に信じようとしている訳ではない。ただ退屈な日常の中に置かれた異物を気にならない事なんてないだけだ。
僕の前には1枚の紙と一つの杖が置かれてあった。
しかも自宅の机の上に。
不法侵入か?と疑い警察に相談しようとも思ったがどうせ相手にしてもらえない。
その紙にはこう書いてある。
"おめでとう。
君は人間の中から選ばれた。
私は神だ。どうせ君は信じないと思うがまずはこの紙を全て読んでくれることを願う。
君は問われたことがないか?
もし一つ願いが叶うなら君はどうする?
と。君は今まさにそれを叶えることができる。
我々は人間など心底どうでもいい。
世界征服でもいい。
豪遊生活をしてもいい。
その杖に願えば何でも叶う。
嘘だと思うなら試せ…と言いたいところだが使えるのは一回のみなので充分悩んで考えてくれ。
君に幸せあらん事を。"
ただ馬鹿馬鹿しいと思った。どこの誰のいたずらだろうか。…と思いたいところだが、扉も窓も鍵がかけてあるままだ。それに俺も隣の部屋にずっといた。やはり不思議だ。
別に信じはしない。
でも、少し考えてみたくなった。
特に何の希望も持ったことがない僕が、本当にほしいものは何なのか。
杖がただのいたずらだとしても、探してみたいと思った。
どうせ退屈だったんだ。少し考えてもいいだろう。
そう言って僕は深く息を吸った。
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