クロスポイント

ラグランジュ

第1話 国家治安維持管理局

 はいサービスな。ここ試験に出るのでよーく理解しておくこと。


 …だるい…だるい授業。何のために勉強するのか。もっと好きなことをして食べていけないのか?


ダルイだるい!!眠い…



※パチン!!※ いてー!!



 遥は得意のデコピンを、瞬は一気に目を覚まして涙ぐむ。それほどなのだ、遥のデコピンの威力は。薄いガラスなら割れるぞ。


 でも、この笑顔にやられる…本人も解っていればいいんだが、遥は鈍い。


 隣の席の西野。みんなはるかと呼ぶから俺もいつの間にか同じように。


 オデコがズキズキ、ドキドキは遥がデコピンをしてくれたからだ。


 先生は優等生の遥が俺を起こしてくれたことを褒めている。


何故俺はそれでも伏せているのかって?


遥を見れないんだ、恥ずかしいんだ。


 隣の席なのに、会話もあまり、いやほとんど無く、そして迎える夏休み。


 あと少しで夏休みかー、ずっと夏休みならいいのにな。そして俺には目的がある。


バイクだ!!この夏こそ絶対に。


 そのためにバイトに力を注いで、ここまで来たんだ!!と言ってもこれから免許を。


それは遥と友達が話していた会話だ。


 授業に遅れそうな、珍しく遅刻をしそうな時にバイクに乗せて貰って学校に。注目の的だった。メットを取ってその男に渡す遥の笑顔を忘れることは出来ない。


 遥の兄だった。遥を乗せるなんて羨ましいぞ。いや、兄ならそうは思わないか…


いや、兄でも遥の可愛さは解るはずだ。


兄になりたい…遥限定の兄に…


 終了のチャイム📢!!終わったー!!この授業で寝るなってほうが無理…


突然、校内放送が、


 先生が少し慌ててタブレットをスクリーンにリンクさせて、みんな集中と。


※国家治安維持管理局から緊急速報です。全チャンネルにも放送されます。五分後に始まりますので全ての業務等を停止してください。運転中の方はだたちに安全に停止して下さい。航空機、船舶、緊急車両以外は全てです※


 国家治安維持管理局…そんなのあったような?


 こんな放送初めてだな。とりあえずトイレだけ行っておくか…


立ち上がると、遥が袖を掴んできた。


トイレ混むから間に合わなくなるよ、と。


俺は嬉しさを感じていたが、どうするか。









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