青春とは群像が輝くとき――どんでん返しミステリー短編集

沼津平成

卒業

 体育館には大勢の人が集まっていた。三月。桜の花もまだ蕾のころ、都内のある女子高は卒業式を迎えていた。もうそろそろ自分の番だ。

「続いて。2組……武田千絵たけだちえ宮野涼花みやのすずか……」

 あれ? 1組の私、呼ばれてませんよ!

 そう言って声を張り上げるが、山田佳子ようだかこの名は体育館から消え去っている。

「3組……。浅川ミヤビさん、三浦さん……」

「そして、先生の卒業です。北本裕次郎先生。水川多喜先生。三宅波音先生」

 校長が3人の先生の名前を呼ぶころ、私は失神していた。


 目を覚ますと、自分は裸体で、不思議と幽霊だという自覚もあった。

 私、卒業したんだな……。

 どこかにあおむけになったまま、私はそっと目を閉じた。

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青春とは群像が輝くとき――どんでん返しミステリー短編集 沼津平成 @Numadu-StickmanNovel

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