信じて送り出した彼女から動画が送られてきた
のんびりした緑
第1話 彼女からのビデオ
陽炎が立ち上る暑い夏
ダイレクトメッセージに一つの動画ファイルが送られてきた。
送り主は幼馴染で彼女である
僕は動画を再生すると、部屋を背景に正座をしている遥が映った。
「面と向かって謝罪出来ない私を許してください」
謝罪しないといけない事?
え……何が始まるんだ……?
「
「え?あ、そういえば、なんか少なかったな・・・」
動画の中の彼女の問いかけに思わず返答する。
なんか減ってたんだよな。衣類が。
「ごめんなさい。原因、私なんです・・・」
そう言って取り出してきたのは、明らかに女の子が着る衣類では無く、男が着る衣類の物だった。ボロボロになってるのは少し気になるが。
しかし、彼女は誰の男の衣類を・・・?
「悠斗。アナタを間近に感じていたいと思い、つい長年着込んでた衣類をくすねてしまいました」
僕のか。万が一、僕のじゃなかったら気が動転する所だったけども。
そう言われると怒るに怒れない。動画の彼女に怒ったところで、という思いもあるが
「ごめんなさい・・・、本当にごめんなさい」
うん、そりゃ謝るべきだと思う。
なんか衣類減ってるなと思ってたら、まさか彼女であるが遥が持って行ってたなんて、誰が予想できるだろうか
それはそれとして、なんで僕の衣類がボロボロになってるのか
「ボロボロの服に違和感を覚えますよね。答えます」
っと、顔を赤くして、えーっと……えーっと……と、口をモゴモゴしながらも意を決したように語った。
「さ、寂しさのあまり、その、な、慰めるのに使い込み過ぎました」
「え」
まさかの告白に一瞬、思考が止まった。
えっと、慰めるのに使いまくった結果。ボロボロにしてしまったと?う、羨ましぞ。僕のいない間に使われてた衣類達よ。
しかし、寂しいとは言ってもだ。毎日とは行かないまでも、ビデオ通話とかでお互いの顔を見ながら会話はしていた筈だが、何が寂しいと感じてしまったのか。
「日が経つ毎に貴方が近くにいないという現実に打ちひしがれるようになってしまいました。例え通話で会話していたとしてもです。こんな動画を作り、送ったキッカケは、貴方が通話中に寝た事です。」
……あの日、僕は疲れてたってのはあるが、寝落ちが原因?蔑ろにされたと感じてしまったのかな。だとしたら、そんな思いをさせた僕が悪いと思う。
と思ってたら続きが流れた。
「自然に起きるまで黙っていたのですが、悠斗の寝息を聞いて、思わず近くにいると安心したんです。が、傍にいないという現実を突きつけられて、それで……」
それで?……俯いたまま中々言わないな、どうしたんだろう?動画も後30秒だし最後まで待ってみると顔を上げてこう告げた。
「今、貴方の後ろにいるの」
え?
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