第22話

「おーおー、鏡とにらめっこして、どうしたー?」



「んー、」



家に帰って早々、鏡の前に座り、あまり使わない化粧を引っ張り出し、メイクをする。



智くんのメイク練習台になってるおかげで、手際よく出来た。




「おっ。いい感じに出来てるじゃん」


「うん…」


「んで、どこ行かされるんだ?」



ニヤニヤしながら聞かれ、ムッと睨みつける。



智くんには前に、私の今の状態を伝えた。特に怒ることもなく、いつもの調子でがんばれよー。なんて言われちゃう始末。





「バー。」


「へぇ、最近の高校生はませてるなー」


「そういう問題じゃないでしょ」



そうつっこむと面白そうに笑われた。




「それで年齢誤魔化すために化粧してんのかー」


「んー…なんか店に入ることは大丈夫だけど、繁華街を通るから、そこで引っかかるなよってことらしい」


「ふーん。龍牙御用達の店みたいな?」


「たぶん」



詳しいことは知らないけど。と言いながら、クローゼットを開けて、黒のワンピースを取り出す。襟の所はビジューで、袖はシースルー。あまりいやらしくない…と思う。



他の服を探すのも面倒なので、これを着ることに。




「着替え終わったら、リビング来てなー」



「うんー」



なんで?って思ったけど、部屋から出ていく智くんを確認した後、ドアを閉めて、着替え始める。

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