第11話

「あ、千秋寝ちゃってる」



聞き慣れた優しい声に薄く目を開いた。



「ゴメンネ、紫季ちゃん。千秋の面倒見てもらっちゃって」


「ううん。全然大丈夫です。よし!千秋行くよ」



小さな手が俺の手を掴んだ。



だけどかったるくて上手く呂律が回らないし、体が言う事を聞かない。



「ほらぁ~、よいしょ」



俺を車から引っ張りだして自分の肩に俺の腕を掛けた紫季は、後ろ手に車のドアを閉めて俺をエレベーターまで誘導した。

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