第5話
あれはいつだったろう。
まだ幸太が襲撃される前。伊智華が恵冬の家で日々を過ごしていた頃だった。
今年の春はいつまでも寒くて、GLORIAの営業を終えて、
俺と恵冬と蓮司と幸太と階段を上がり外に出ると、早朝の曖昧な暗さで通りはぼんやりと明るかった。
早朝だからだろうか。何だか冷える。
「変だなぁ?この間まで温かかったのに、最近冷える」
「早朝はこんなもんでしょう」
瀬大が白い息を吐きだしそう呟くと、蓮司がそう言って肩を竦めた。
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