第20話
恋は幻想…なんていう言葉があるけれど。
今までの恋は幻想。そう思えるのが本当の恋だと思う。
今まで、そばにいてくれた女の子はある程度大切にして来た。
恋人にはこうあって欲しい。
こんな女性で、こんなふうに自分を支えて欲しい。そんな理想像にも似た感情を抱くのも、備え付けられた当然の現象だと思っていた。……でも違った。
この子が辛い時はこういうふうにしてあげたい。
泣いてたらこんな言葉をかけてあげたい。
本当に大切な人には、そんなふうに色んな形で尽くしてあげたいと思う物なのだと、俺は知った。
「あれ?ユキ?」
くる。
その声に条件反射で振り返る俺ってどうなの?もしかしてかっこ悪い?
「ユキ、寝坊したんでしょー?実はあたしもなんだけど」
駅にたどり着き学校に向かって歩き出していた俺に駆け寄って来たのは青山だ。
「なんだ青山もなの?」
「昨日結局猫見つからなくて…。でもね!今朝学校行く途中公園でグッタリしてる所見つけて病院に連れて行ってて今になったんだけど…でも今から帰るの!」
「はぁ!?なんで!?」
「実はね!赤ちゃん産んだらしいの!」
「はぃぃ!?」
どうやら噂の野良猫さんは産気づいて青山のところへ行かずに出産する場所に留まっていたらしい。
「子猫みたいから帰るってレオたちには言ったから!一方的に!」
目をキラキラ輝かせる青山。
本当にこの人は…と苦笑する俺。
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